頂点に君臨する贅沢に浸る ベントレー・ベンテイガ EWBへ試乗 ミュルザンヌの代り役

公開 : 2022.10.14 08:25

至って快適なエアラインシート

このクルマの場合は、リアシート側の印象が重要。実際に座ってみると、ロールス・ロイスカリナンレンジローバー LWBより空間の前後長がある。全体的にゆとりがあり、広大といいたくなる。

エアラインシートは、ファーストクラスのように完全なフラットにはならないものの、背もたれは40度までリクライニング可能。ふくらはぎ部分のオットマンも立ち上がり、前身を委ねられる。邪魔なら、助手席を前方へ寄せることもできる。

ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)
ベントレーベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)

このエアラインシートを装備すると、指定した温度環境を自動的に保つマルチゾーン・クライメートコントロールも付く。乗員周辺の温度や湿度を細部に監視し、ヒーターやクーラーを稼働させ、快適な状態を保ってくれる。

試乗時は至って快適で、その機能が働いていることに気が付かなかった。この、乗員へ気付かせない仕事こそポイントといえる。ほかにも、マッサージや姿勢改善機能と呼ばれるものも搭載される。

一方で、些細なマイナス点もある。まず、SUVはサルーン・ベースのリムジンより全高や着座位置が高いため、コーナリング時に発生する横方向の力が乗員へ強く掛かりがち。リアシートの快適性を保つには、従来より優しくカーブを曲がる必要がある。

また、リアシートの空間の前後長が広くなったおかげで、フロントシートの背もたれに内蔵された折りたたみ式テーブルが遠く使いにくい。メルセデス・マイバッハGLSのように、アームで手前に展開されるとベターだ。

頂点に君臨するSUVの贅沢さに浸る

ベンテイガ EWBの広い車内空間は感嘆するほどだが、伝統あるミュルザンヌの直接の後継車にはなりにくいかもしれない。より速く動的能力に長けているものの、同水準のラグジュアリーさまでは得られていないようだ。

それでも、EWB版は標準ホイールベースのベンテイガより確実に見栄えがする。V8エンジンのサウンドは控えめながら、頂点へ君臨するSUVの贅沢さに浸ることができるのは間違いないだろう。

ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)
ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)

英国価格はオプションレスで21万1300ポンド(約3486万円)から。試乗車は22万2570ポンド(約3672万円)だった。この贅沢には、かなりの追加料金が必要になることもご承知おきを。

ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)のスペック

英国価格:22万2570 ポンド(約3672万円)
全長:5305mm
全幅:1998mm
全高:1739mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:2500kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/6000rpm
最大トルク:78.3kg-m/2000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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