新型ジープ・コマンダー試乗 このサイズを待っていた! 唯一の「ディーゼル」出来栄えは?

公開 : 2022.10.24 16:00  更新 : 2022.10.24 16:07

新型ジープ・コマンダー・リミテッドに試乗。ミドルサイズながらも3列を備え、ディーゼルエンジンを搭載する唯一無二の1台といえます。

3列SUV このサイズを待っていた

コマンダーと聞いて「昔もあった!」と気づいた方はジープ・マニアといっていいかも。

初代は2005年から5年くらい販売されていた。その特徴はジープ初の3列シートを備えた7人乗りだったこと。

ジープ・コマンダー・リミテッド
ジープ・コマンダー・リミテッド    神村聖

今回上陸を果たした新型コマンダーも同様の特徴を持っている。

だが初代がグランドチェロキーをベースとしたフルサイズのモデルだったのに対し、新型はコンパスをベースとしておりサイズ感が決定的に違う。

それでも実車を目の前にしてみると、立派なサイズに思えるのは、現行グランドチェロキーに倣った威厳のある顔つきだからだと思う。

全長はコンパスより350mm長くなっている。一方ホイールベースは145mmの延長にとどまる。

つまり3列シートのためにリアオーバーハングが200mmくらい延長されているということなのだろう。

3列目シートへのアクセスは「想像どおり」だ。

分割された2列目シートは手動のワンアクションで背面、座面の順で倒れアクセスが可能になる。

リアドアから3列目にアクセスするこの手のシートで「乗り込みやすい!」と実感した記憶はない。

その中でコマンダーは開口部が広く乗り込みやすい部類に入る。

3列目シートは座り心地自体はちゃんとしているが、ヘッドクリアランスと足元スペースの関係で身長は170cm以下くらいが最適だと思う。

ともあれ現行ジープを俯瞰して見ると、このサイズの3列シートを待っていた! という人が絶対いるはず。コマンダーの登場は必然といっていいだろう。

日本モデル唯一の「ディーゼル」

新型コマンダーの大きな特徴は、3列目シート以外にもう1つある。

現在日本に導入されているジープのパワーユニットの中で唯一、ディーゼルであることだ。

2L直列4気筒ターボのディーゼルエンジンの日本導入は今回が初めて。
2L直列4気筒ターボのディーゼルエンジンの日本導入は今回が初めて。    神村聖

2L直列4気筒ターボのディーゼルエンジンは以前から存在していたが日本導入は今回が初めて。

コンパスに比べ270kgくらいの重量増。しかも7人フル乗車したときのことを考えれば、ガソリンの4気筒ターボでは不安があって当然かもしれない。

コンパスのガソリンエンジンのトルクは23.4kg-mだが、コマンダーのディーゼルは35.7kg-mと強力だ。

ディーゼルエンジンのノイズはアイドリング時でもわりと大きい部類に入る。

だが力強さという点はさすがで、9速ATの上手いギアさばきと相まって車重を感じさせない。

これがガソリンならそれなりの回転数まで引っ張ることになるはずだから、その点でもディーゼルは正解といえるだろう。

今回の試乗では街中と高速道路を普通にドライブしているが、街中はとくに違和感はなかった。

取りまわしのしやすさという点ではコンパスとあまり変わらないように感じた。

だがハンドリングに関しては延長されたリアの重みが影響を与えているようだ。

コーナリングでリアの重さがハッキリと感じられ、ロールが残りがちなのだ。これはスポーティーなコンパスと比べると明らかに違う部分だ。

とはいえ新型コマンダーは7人乗りのSUVの中では比較的コンパクトな部類に入る1台。ハンドリングの質にまで言及するのはフェアではないかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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