クルマ漬けの毎日から

2024.05.15

2012年末に量産化計画が中止となったジャガーC-X75。2015年には映画『007 スペクター』に登場して話題になりました。その後1台が登録され、最近イギリスの自動車イベントに展示されました。

幻のジャガーC-X75、元チーフデザイナーが展示【クロプリー編集長コラム】

もくじ

世界でたった1台の登録車
『007 スペクター』に登場した1台

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

世界でたった1台の登録車

幻のジャガーC-X75をイベントに展示したデザイナーのイアン・カラム氏

オックスフォード近郊のビスター・ヘリテージで開催された「スクランブル」と呼ばれるイベントに出かけ、楽しい1日を過ごした。とくにジャガーの元チーフデザイナー、イアン・カラムに偶然出会ったことは嬉しい出来事であった。

5年前にジャガーを退職したカラムは、その後自身でデザイン会社をスタートさせ、現在そのビジネスは成功している。世界に1台しかない、登録されたジャガーC-X75をカラムがこのイベントに持ち込んだことで、会場は熱気を帯びていた。

C-X75はカラムのジャガー在職中にデザインされ、2010年にコンセプトカーが公開された。今回展示されたC-X75は、公道走行のために6か月にわたる改造を終えたばかりで、カラムの顧客の1人が所有している。

『007 スペクター』に登場した1台

ご存じかもしれないが、C-X75はハイブリッドの斬新なハイパーカーとして量産されるはずだった。ジャガーはウィリアムズと共同で製造すると合意していたが、財務がその計画を中止させた。

その後、4台の頑丈なつくりのスタントカーが2015年の映画『007 スペクター』のために仕立てられ、XKRのスーパーチャージャー付きV8エンジンが搭載された。

今回展示された個体はそのうちの1台で、現在は完璧に塗装され、パネルとパネルのギャップも最小でじつに見事に仕上がっている。また、ちかく新しいインテリアも取り付けられるという。

完成したC-X75をこの目で見ることができ、しかもそれがイアン・カラムの手により展示されたのはなんとも喜ばしい。現在カラムは自動車関連のみならず、他の分野の新たな計画にも取り組み、さらに躍進している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
 
 

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