新しい循環型ビジネスモデル 「ランドローバーのSDGs」 使用済みPHEV車のバッテリーパックを活用

公開 : 2024.04.26 17:45

JLR(ジャガー・ランドローバー)は外出先でゼロエミッション充電を実現する斬新なバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を共同開発したと発表。新しい循環型ビジネスモデルとなるのでしょうか?

2024年4月16日、英国ゲイドン発

ジャガーランドローバー(以下JLR)は、エネルギー貯蔵システムの開発を手がけるスタートアップ企業であるAllye Energyと提携し、外出先でゼロエミッション充電を実現する斬新なバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を開発したと発表。

1台のMAX BESSには「レンジローバー」および「レンジローバー・スポーツ」のプラグイン・バッテリー(PHEV)モデルに搭載されていたバッテリー・パック7台分を再利用している。

JLR 新たなポータブル・バッテリーエネルギー貯蔵システムを発表
JLR 新たなポータブル・バッテリーエネルギー貯蔵システムを発表

車両から取り外したバッテリーは、一切の加工を行うことなく、カスタマイズされたラックに差し込むだけで使用することが可能で、各BESSは、フル充電の状態で英国の平均的な家庭の約1か月分の消費電力に相当する、270kWhのエネルギーを貯蔵することができるという。

JLRのセカンドライフ・バッテリーを採用した初めてのBESSは、一度に最大9台の「レンジローバーPHEV」を充電することが可能で、充電は、JLRの既存のPHEVモデルおよび電気自動車(EV)モデルに採用しているコンバインド充電システム(CCS)に対応しており、充電プラグを接続するだけで充電を開始する。

さらに、パワーロック・コネクター経由でのマルチ給電コネクターにも対応しており、固定サイトまたはオフグリッドサイトで、再生可能エネルギーを充電することも可能だと述べる。

ディーゼル発電機の代替システム MAX BESS

MAX BESSは、これまで自動車業界が頼ってきたディーゼル発電機の代替システムとして、電力網が整備されていない遠隔地で開催される発表会やイベントなどで、車両に電力を供給するために使用することができる。

JLRのエンジニアリング・チームは、今回初めて、この新しいBESSを導入し、今年後半に受注開始予定の新型「レンジローバー・エレクトリック」の走行テストにおいて、ゼロエミッション充電を行っていると付け加えた。

JLR 新たなポータブル・バッテリーエネルギー貯蔵システムを発表
JLR 新たなポータブル・バッテリーエネルギー貯蔵システムを発表

平均的なディーゼル発電機は通常、1時間あたり16Lの燃料を消費するという。これは、1日に3時間使用した場合、合計129.12kgのCO2排出量に相当する。

JLRのエンジニアリング・チームは、BESSを使用して1000時間以上のテストで車両に電力を供給し、年間で15,494kg以上のCO2排出量を削減予定で、これは、飛行機の乗客1人がロンドンからニューヨークまで7往復した場合のCO2排出量に相当すると語る。

この多用途なBESSの重量は3.5t未満で、さまざまな場所に移動することも、固定して利用することも可能で、販売店やJLRの拠点に設置することができる。

これにより、JLRの3000を超える販売ディーラーネットワークは、太陽光などの再生可能エネルギーを効率的に活用したり、電力網への接続が制限される遠隔地での急速充電をサポートする蓄電装置として使用することができ、このユニットは、JLR以外の顧客でも利用できるように市販予定だとしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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