オンでもオフでも「クラス最高峰」! ランドローバー・レンジローバーへ試乗 推しはSWBのD350

公開 : 2024.09.01 19:05

市場に合わせ多様な仕様を擁する最新レンジローバー エアサスが標準 上品で落ち着いた車内 想像以上の悪路性能にクラス最高峰の快適性 推しはディーゼルターボのD350 英編集部が評価

SWBにLWB 多様な仕様を擁するレンジローバー

半世紀以上の進化を重ねてきた、ランドローバー・レンジローバー。広大な領地の確認や、子供の学校への送迎、週末の買い物やオペラ鑑賞など、すべてをこなせる高級オフローダーとして、多くの人を豊かにしてきた。

現在のランドローバーは、130か国以上でレンジローバーを提供している。それぞれの需要に合わせるべく、複数の仕様を用意して。

ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)

ボディの長さは2種類。スタンダード・ホイールベース(SWB)と、ロング・ホイールベース(LWD)には7シーター版もある。トリムグレードは、それぞれ4種類から2種類をラインナップ。特注のスペシャルビークル・オペレーションズ(SVO)も擁する。

全長は、SWBが5052mmで、LWDは5252mm。全幅は共通で1990mmある。パワートレインは、ガソリンとディーゼルのエンジンに加えて、プラグイン・ハイブリッドも選べる。ただし、LWDでは選択肢が限られる。

これだけ多様な仕様があるだけに、レンジローバーの真のライバルを決めるのは、簡単ではない。悪路性能や歴史の長さで比較すれば、メルセデス・ベンツGクラスだろう。

スポーティなオンロード性能では、BMW X7かもしれない。上流階級的な雰囲気では、ベントレーベンテイガが当てはまりそうだ。

プラットフォームは、80%がアルミニウム製のMLAフレックス。他のランドローバーと、多くの部品を共有している。CピラーやDピラー、フロントドア周辺には、スチール製の補強材が仕込まれ、ねじり剛性は先代から50%上昇。1度当たり、3.3tだという。

エアサスが標準 上品でクラシックな車内

サスペンションは、前がダブルウィッシュボーン式で、後ろが5リンク式。車高調整可能なエアスプリングが、全車標準となる。悪路に備えて135mm高くできるほか、乗降性を良くするため50mm落とすこともできる。

地形に合わせてドライブトレインやサスペンション、トラクション・コントロールなどを統合制御する、テレインレスポンスIIも実装。電圧48Vで動作するアクティブ・アンチロールバーは、カーナビのデータを元にコーナーを予想し姿勢を制御する。

ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー D350 HSE(英国仕様)

アクティブ後輪操舵システムも備わる。低速時には最大7.3度、フロントタイヤと逆位相にリアタイヤが向きを変える。トルクベクタリング機能や電子制御リミテッドスリップ・デフも、標準装備だ。

トランスミッションはZF社製の8速オートマティック。ローレンジ付きの四輪駆動だが、気温が3度以上で速度が160km/h以下など、条件次第では自動的に前輪駆動へ切り替わる。これにより、CO2の排出量を抑えている。

インテリアは、2002年のL322型へ通じる雰囲気。ダッシュボードは水平基調で、中央に13.1インチのタッチモニターが据えられる。上品でクラシックな雰囲気が好ましい。

アルミ風のパネルが、太陽の角度で眩しく感じることはあったが、内装の設えや素材は、10万ポンド(約1900万円)以上の英国価格にふさわしい。インフォテインメント用に独立したコントローラーがあれば、なお良い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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