BMW 320d Mスポーツ

公開 : 2016.06.14 23:40　　更新 : 2017.05.23 10:23

ディーゼル・エンジンのそもそものキャラクターでもあるが、5000rpmから上の回転域まで使ってパワー感を楽しませようという意図は薄いようだ。やはり出来るだけ下の回転域で燃費効率も同時に追求する“現代的”なエンジンに仕上がっている。

運転を楽しみたいひとにも、320dは向いている。ステアリングのレスポンスがよいのと、ステアリング・ホイールを切り込んだときの車体の動きの制御が気持ちいいからだ。BMWが伝統的に得意とする感覚的なスポーティさも、ちゃんと継承している。いかなる速度域でも嬉しくなる演出がちゃんと施されているのだ。

ドライブ・モード切り換えによって、繊細なシフトプログラムを組み込まれた8段オートマチック変速機のスケジュールなどがコントロールされる。スポーツを選べば、もりもりとわき出す力を感じさせるトルク・バンドを使ったフィールが味わえる。

乗員の着座位置が低重心化のためかかなり低く、まるでちょっとしたスポーツカーに乗り降りするようなところは、高齢化しているドライバーにとってはやや難だ。しかしいったん座ってステアリング・ホイールを握れば、320dは若返りの妙薬だ。意思どおりに動くような感覚と、力強い加速性。どんな時でも気分が晴れやかになるのは間違いない。

繰り返しになるけれど、新しいサスペンション・システムを手に入れて乗り心地はうんと快適になったので、オールマイティなセダンとなった。メルセデス・ベンツ CクラスやアウディA4とはまた一線を画したスポーティセダンとして、320dの魅力はいまも燦然と光り輝いている。