MG、中国「上海汽車」の救済で見えてきた今後 2019年にはEVも

公開 : 2017.12.03 11:40  更新 : 2017.12.14 12:35

日本では、「過去のメーカー」になっているかもしれないMG。しかし実は、中国メーカーの救済によって「どん底」から抜けだしつつあります。今後を探ってみます。

text:Richard Bremner(リチャード・ブレムナー)

もくじ

MG 中国の救済 そして今
見据える、新たな方向性とは
SAIC経営陣 「19年にはEVを」
3つの主要エリアに分けた「革新」
番外編1 ロングブリッジの未来
番外編2 MGのモデル・プラン

MG 中国の救済 そして今

中国メーカーによって死の淵から助けだされたあと、MGはゆっくりとだが着実に回復への道筋を辿ってきた。そしていま、このメーカーの変革に向けた新たな一手が打たれようとしている。

今年はじめ、上海汽車はMGローバーの残骸から生みだされた100万台目のクルマを生産した。上海汽車所有のローウェ社とMGの両ブランドで昨年32万台を販売しており、今年はわずか4%しか成長しない中国市場において78%の販売増を見込んでいる。

この結果は成功以外の何物でもなく、英国の貢献も著しいと認めない訳にはいかないだろう。上海汽車のバーミンガムにあるデザイン及びエンジニアリング・センターから、このふたつのブランドに対して多くの成果がもたらされているのだ。

一方で、MGモーターの英国での状況は芳しいとは言えない。

バーミンガムのロングブリッジにあったMGローバーの工場で、スポーツ・モデルであるMG TFの生産が再開されてから10年が経った。このMGの復活は、同社の資産を買い取った中国企業である南京汽車によって可能となった一方で、同じ中国企業である上海汽車(SAIC)は、いくつかのMGローバーのモデルに関する知的財産権を買い取っていた。その後しばらくして中国政府はこの2社を合併させた。

それ以来、われわれはMG6やMG3といったモデルを見て見ぬふりをし、平凡なSUVモデルであるMG GSにも関心を示す事は無かった。

MGはいま新たなSUVモデルであるZSを発売しようとしているが、このクルマはこれまでのMGモーター製品のなかで最も印象的な1台である。

英国での販売台数は2015年には3152台だったものが、2016年には4192台へと増加しており、今年はこれまでの10カ月で3515台を売り上げ、市場が落ち込むなか0.16%のシェアを獲得している。

つまり、数字を見れば正しい方向へ進んでいると言えるが、それでもMGモーターの販売は韓国のサンヨンを上回っているだけに過ぎない。英国市場では依然よく知られたブランドであることを考えれば決して満足できる状況ではなく、ロングブリッジの巨大な自動車組立工場での小規模生産を正当化するには十分な数字であるとは言えない。

だからこそ、新たな方向性が打ちだされたのは喜ばしいことだ。

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