皆が思っているほど完璧じゃないクルマ 「弁慶の泣き所」を抱えた名車 20選

公開 : 2024.09.28 18:05

過大評価というほどではないが、世間一般の「良いイメージ」が少し誇張され過ぎているクルマを紹介する。どれも名車揃いだが「玉に瑕」や「弁慶の泣き所」とも言うべき見過ごされがちな欠点も抱えている。

見過ごされがちな弱点

ここで紹介するのは、駄目なクルマというわけではなく、世間一般のイメージとは少し異なるクルマだ。「過大評価」という言葉はあてはまらないものの、見過ごされている欠点がいくつかある。

これらのクルマが素晴らしい特徴を数多く持つことは間違いないが、一部、世間の評価が実際よりも少し誇張されているところもある。その一部をピックアップし、なぜ大げさな評判になり得るのかを考えてみたい。

今回紹介するのはどれも名車ばかり。ただし、安全性、乗り心地、性能などの弱点にスポットライトを当てる。
今回紹介するのはどれも名車ばかり。ただし、安全性、乗り心地、性能などの弱点にスポットライトを当てる。

ランドローバー・シリーズI(1948年)

英国が生んだ名車ランドローバーは、あらゆる民間オフロード車の祖先として賞賛されている。初期の自動車でありながら、今でも荒れた路面を走破することができるのは印象的だ。しかし、「デュアル・パーパス(不整地にも舗装路にも対応)」というコンセプトは失敗だ。

合法的に舗装路を走行できることに異論はないが、リーフスプリング、ラダーフレーム、重たいアクスルが回転し、揺れ動くため、運転はできるだけ短時間にとどめ、乗員の背骨、歯、関節、神経をいたわるべきだ。このクルマは乗用車ではないと考えて、オフロードに徹すれば大丈夫だ。

ランドローバー・シリーズI(1948年)
ランドローバー・シリーズI(1948年)

フォルクスワーゲン「ビートル」(1950年)

1930年代にデザインされた安価なエコノミーカーが60年もの間販売され続け、2100万台も作られたというのは驚異的な現象だ。とはいえ、ビートルが現代の自動車のパターンを決定づけたわけではない。

ビートルを賞賛する人たちが、一方で危なっかしいクルマだと考えているのもまた事実である。リアエンジンのレイアウトと偏った重量バランスは、推奨されるべきものではない。

フォルクスワーゲン「ビートル」(1950年)
フォルクスワーゲン「ビートル」(1950年)

1960年代半ば、特に米国におけるビートルの評判は芳しくなく、脆弱な構造、安全システムの欠如、貧弱なブレーキは時代錯誤も甚だしいとされた。「でも信頼性はとても高い」と人々は言った。あるいは、簡単に修理できることに惑わされたのだろうか? ビートルの魅力は奥深いが、もしゴルフがもっと早く登場していたら……。

MGB(1962年)

ビートルと同様、歴史によってただならぬオーラを放ち、適切な分析ができないクルマがもう1台ある。1962年に登場したMGBは、モノコック構造で確かな性能を持ち、特に英国では崇拝の対象となっている。

しかしその一方で、扱いにくいコックピット、重いステアリング、壊れやすいエンジン、部品の劣化が早いことなど、あらゆる不都合を備えている。

MGB(1962年)
MGB(1962年)

親会社のブリティッシュ・レイランドは、ライバルのほとんどが生産中止となったことから、わざわざ新型を開発する必要はないと判断し、1980年まで販売を続けた。その頃には、すっかり「生きたアンティーク」となっていた。2人乗りスポーツカーの典型として丁重に扱われてきたが、それもマツダMX-5(日本名;ロードスター)が登場するまでの話である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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