マクラーレン、急成長のワケ 各部門チーフに聞く成功の秘訣 後編

公開 : 2018.08.05 08:10  更新 : 2019.05.04 13:03

後編では、マクラーレンの仕事に見合う人材を発掘する難しさや、CFOの仕事についてインタビューしています。最後には、マクラーレン全体をまとめ上げるマイク・フレウィットにも話を聞くことができました。マクラーレンの急成長の軌跡にも触れています。

もくじ

人材発掘の難しさ
金儲けの話
製造部門との関係性を重視
なぜ「数のゲーム」以上なのか
マクラーレン 急成長の軌跡
すべてをまとめるということ
安定した自動車メーカーに

人材発掘の難しさ

シェフィールドに建設中の新しいカーボンシャシー工場が軌道に乗る2020年までに、マクラーレンは1600人を採用する予定だ。現状、シャシーは欧州のサプライヤーから調達しているが、シェフィールドが稼働すると英国に200人の雇用が戻ってくる。

「マクラーレンのような会社に合った人を探し出すことは、とても骨の折れる仕事です」およそ5年前にこの仕事を受け持つことになった人事の執行役員マンディープ・ダットはいう。「会社中の管理職と打ち合わせを繰り返すことから始まります。われわれの望むスキル、才能や態度に至るまで決めるんです。マクラーレン・オートモーティブはとても特殊な文化を持っているんですよ」

「非常にレアな専門性を持った人を探すなど、いつものことです。われわれが必要とする特定の分野の専門家は世界に10人しかいないなんてこともありますよ。最適な人を探すには調査と注意が必要なので、いろいろな人たちに助けてもらいます。専門家やヘッドハンターなどですが、同僚の力を借りることもあります。柔軟に対応していますが、一番欲しいのはわれわれマクラーレンの人間が持っている情熱にぴったりの人なんです。時には人を探すのに6カ月もかかることがあるんですよ」

ビジネスへの情熱は「ほとんど獰猛といってもいいくらい」だとダットはいう。自分の最も重要な責務はこの情熱を引き継ぐ人間を採用することだと彼女は思っている。ウォキング・マニュファクチャリングセンターの開設に伴って社員を増やすことが必要となったとき、人事スタッフは開設の12カ月も前から採用の準備を開始し、応募者の「文化的適合性」を確認し評価し面接して判断するのに40日を費やした。

それからさらに日数をかけて、必要とされる技術を持っているか、仕事の厳しさを理解しているか、それぞれの応募者について確認を行ったのだ。最終選考の後、新入社員は3カ月の間、自分の仕事について説明を受け、訓練を受け、確認を受け、そしてようやく配属された。マクラーレンは品質について強いこだわりを持っている。新入職員は、繰り返し基準を達成できることを証明し、仕事への熱意を示さない限り、ひとりでは仕事をさせて貰えないのだ。

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