ロードテスト ポルシェ911GT2 RS ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2018.08.05 06:10

ポルシェ911のラインナップに追加された、スーパーカー追撃マシンともいうべき最強バージョン、GT2 RSを徹底的にテストしました。しかし、そのスペックは同じ価格帯のライバルに、走りの質は身内の傑作モデルに、いずれもわずかながら及びませんでした。

もくじ

はじめに
意匠と技術
内装
走り
使い勝手
乗り味
購入と維持
スペック
結論

はじめに

速さも、ボディの広さや剛さも、パワーも、そしてモータースポーツの雰囲気も、これまでに生まれたいかなるロードゴーイング911をも凌ぐ911、それがこのGT2 RSだ。ヴァイザッハが送り出す最強のGTカーを、今回はロードテストの評価基準で測るのである。

このクルマ、1990年代の911GT1、しかもそのレース仕様を、余裕で上回るエンジンパワーを誇る。プライベートチューナーの作品を除けば、ナンバー付きポルシェの最高峰と言っていいモデルだ。ニュルブルクリンクで、市販スポーツカー最速タイムをマークしたことは各方面での報道でご存じだろうが、果たしてわれわれのサーキットテストでも、ランボルギーニウラカン・ペルフォルマンテのタイムを抜き去り、最速ロードカーの称号を手にできるのか、ご注目いただきたい。その結果は、このあとの『走り』のレポートに乞うご期待。

ポルシェのテストドライバーであるラース・ケルンのドライブで、GT2 RSは昨年、ノルドシュライフェにおいて6分47秒3という驚異的なラップタイムを叩き出した。これは、それまでの市販車最速記録を打ち破るものだ。特殊なレースカーを除けば、サーキットスペシャルを含めても6分50秒を切るクルマはいまのところ5台のみ。その3番目に、公道走行可能な量産車でありながら食い込んだのである。ちなみに、それまで市販車最速の座にあったウラカン・ペルフォルマンテのタイムは6分52秒01だった。

これまで、911GT2の名を冠した市販モデルは5台登場している。事の起こりは1995年、ホモロゲーションモデルとして誕生した993世代のGT2だ。450psという最高出力から判断して、近年のスポーツカーを経験しているドライバーが手こずるようなクルマではないだろうと高をくくっていると、ワイルドなハンドリングの洗礼を受けることになるシロモノである。GT2が「ウィドウ・メーカー」すなわち未亡人製造機なる物騒なニックネームで呼ばれるようになった所以だ。

それ以来、歴代GT2のレシピは一貫している。恐るべきパワーを発揮するエンジンを軽量ボディに積み、モータースポーツレベルに固めたサスペンションを組み合わせた後輪駆動車という、ターボパワーを扱うには4WDが必要というポルシェのタテマエを無視したメカニズムの持ち主だ。とはいえ、後期型になってようやく991のラインナップに加わった700psのGT2 RSがみせるパフォーマンスは、これまでのGT2になかったほど過激なはず。果たしてこのモンスターは、恐ろしいほど素晴らしいのか、はたまた単に恐ろしいだけで終わるのだろうか。

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

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