英国のEU離脱(ブレクジット) 自動車産業への影響は 危険性とメリット

公開 : 2018.08.18 12:10

成り行き次第では不況の危機に

ユニパートは最近の我が国の自動車産業の浮き沈みをウォッチしてきた。かつては国営の巨大企業ブリティッシュ・レイランドの一部門であり、今では景気のいい部品と物流の独立会社である。

ニールの心配はより広い産業への心配でもある。関税の問題ももちろんだが、さらに懸念されるのは、ますます高くなるように見える英国と大陸の間の壁により物流が妨げれ、自動車部品の調達が遅延することである。これは長年EUのメンバーだったことで発展してきたサプライヤーから自動車メーカーへのジャストインタイムの物流を破壊するおそれがある。

最大の市場と部品サプライヤーへのアクセスが困難になると、ここしばらく続いた英国自動車産業の力強い成長に急ブレーキがかかる可能性があると、アストン大学の産業政策科教授であるデビッド・ベイリーは警鐘を鳴らす。

192万台を記録した1972年から英国の自動車製造はスランプに陥り、その後増減を繰り返してきたが、ここ10年は好調で昨年は170万台まで回復してきた。そのうちの何割かは復活した日産ジャガーランドローバー(JLR)のおかげである。我が国の断トツのビッグツーだ。ブレクジットはこの勢いを逆戻りさせかねない。

「また不況に陥る危険が差し迫っているのです」とベイリー教授はいう。「英国での生産が保証されないとなると他所へ移ってしまうかもしれません。われわれは自らの手で自国の自動車産業を損壊してしまう危険があるのです」

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