堀場製作所が買収 トップギアのテストコース なぜ? 中では何が? 現地ルポ 前編

公開 : 2019.09.21 18:50

2015年に日本の堀場製作所が買収したMIRAを訪問しました。かつては必要なインフラ整備費用にも事欠く状態だった英国が誇るこの自動車の研究開発センターですが、いまでは十分な投資を受け、未来のモータリゼーションづくりに欠かせない存在となっているようです。

もくじ

MIRAとは? 元英国空軍基地
相応しい買い手 多くの価値
技術開発とテクノロジーパーク
真の能力 ポジティブな影響

MIRAとは? 元英国空軍基地

text:Matt Prior(マット・プライヤー)

MIRAのことをミッドランズにある単なるテストコースだと思っているのは、決してあなたひとりではない。

2015年、日本の堀場製作所がこのヌニートンの企業を買収したとき、英紙テレグラフはMIRAのことを、「トップギアやフィフスギアといった自動車番組の撮影場所でもあるテストコースと開発センター」だと紹介していた。

エンジンテストの様子はあらゆる角度からモニターされている。
エンジンテストの様子はあらゆる角度からモニターされている。

こうした有名なテストコースは、英国空軍リンドリ―基地が英国政府の研究機関であるMIRA(Motor Industry Research Association)として生まれ変わった1948年に、滑走路と誘導路上に設置されたものだ。

当時、オープンセレモニーのためにやってきたオースチン社の会長は、MIRA責任者のアルバート・フォッグ博士がテープを爆破して粉々にするつもりであることを知らずに、テープカット用の特別なハサミまで持参していた。

当時のMIRAにはわずかな数の滑走路と誘導路、それにコントロールタワーと格納庫がひとつずつあるだけだった。

英国版Autocarが頻繁にパフォーマンステストを行うため、12年ほど前からMIRAに通い始めているが、当時テストコースを使用するための手続きはまだコントロールタワーの1階で行っており、タワー屋上のガラス張りの監視台はスタッフが温室として使っていたに違いない。

相応しい買い手 多くの価値

コース正面の1950年代に建てられた研究施設やオフィスを含め、MIRAには多くの課題があり、実際、全力で対応にあたっていたものの、基盤設備を維持するために必要な多額の資金を準備することは出来なかった。

確かに、コントロールタワーは新設したかも知れないが、それだけでは不十分だったからこそ、彼らは2010年代初頭からスポンサーを探し始めたのであり、最終的には日本の堀場製作所という相応しい買い手が現れ、2015年に8500万ポンドでMIRAを買収している。

排ガステスト施設はほぼ24時間フル稼働だ。
排ガステスト施設はほぼ24時間フル稼働だ。

基本的には部外者であり、時にはMIRAでテストを行ったわたしでさえ、この買収の目的はMIRAの施設であり、雇用は維持されないのではないかと思ったが、それは単なる杞憂であり、買収以降、投資は継続的に行われている。

堀場製作所はアンティークの芸術品に使われる分光器から、廃棄物に含まれる有害物質を検出するためのガス分析器など、正確性が求められるテスト装置を作り出すことで名を知られており、ドイツと米国にある自動車用テスト施設を含めすでにさまざまなテストセンターを保有していた彼らだが、MIRAには多くの価値を見出している。

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