「はつえんとう」じつは2種類が存在 トラブル時の正しい使い方 期限切れ、車検は?

公開 : 2019.09.21 18:37  更新 : 2019.09.21 18:47

知ってた? 「はつえんとう」と呼ばれるものは実は2種類あります。クルマのトラブルなどで使う方の「発炎筒」の正しい使い方をまとめました。LED用も普及しはじめています。

知ってた? 「はつえんとう」は2種類ある

text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

 

「はつえんとう」と呼ばれるものは、実は2種類ある。

「発煙筒」

発炎筒。日本では、クルマの保安基準によって車載が義務づけられている。
発炎筒。日本では、クルマの保安基準によって車載が義務づけられている。    上野美弥

ひとつは「発煙筒」。その文字が示すように、煙を発する筒状の器具だ。火薬(マッチで火をつけるように)で点火すると、大量の煙を噴き上げる。

おもな用途は、山岳事故や海難事故などで救助を求めるといった非常時のことが多い。したがって、周囲からの視認性を高めるために煙には赤などの色が着けられている。

TVなどで海外のサッカーの試合を見ていると、スタンドで発煙筒の煙が上がっていることがあるが、あれはもちろん正しい使い方とは言えない。

また、映画や演劇の演出効果用に使われたり、防災避難訓練などで火事の煙の代わりに用いられることもある。

軍事用や警察用に発煙筒が使われることがあるが、もはやこうなると発煙筒ではなく発煙弾に近い。煙幕を張って敵からの攻撃を逃れたり、敵(犯人)を攪乱するためにも使われる。

「発炎筒」

もうひとつが、今回のテーマである「発炎筒」だ。これも文字どおり、炎を発する筒状の器具だ。

クルマを所有している人なら、運転席側のドアポケットかダッシュボード下あたりに備え付けられている、あの赤いプラスティック製の筒だ。

日本では、クルマの保安基準によって車載が義務づけられている。

とはいえ、実際に発炎筒を使用したことのある人は、意外と少ないかもしれない。

それでも高速道路では、発炎筒が使用されている機会を見ることは多い。

車両の故障や事故が発生した場合、道路工事区間がはじまる手前の地点、交通違反などでパトカーに路肩へ停止させられた場合(この場合は自分ではなく警官が使用するが)など。

では、その使い方などについて紹介していこう。

発炎筒の正しい使い方を確認しておこう

愛車に発炎筒が積まれていることは知っていても、まじまじと発炎筒を見たり、使い方を予習したりしている人は多くはないかもしれない。

発炎筒にはキャップが付いており、このキャップの部分にマッチ箱の発火用紙のような素材が付けられている。

トラブルが発生した場合、まずはハザードランプを点灯させること。
トラブルが発生した場合、まずはハザードランプを点灯させること。

これでマッチに火を点けるように発炎筒の先端を擦れば、発炎筒は点火する。

踏切内でクルマが止まってしまった場合などでも発炎筒を使う機会がある(できれば、そんな機会に遭遇したくはないが)から、使い方は確認しておこう。

もっとも、事故や故障などのトラブルが発生した場合、まずはハザードランプを点灯させて路肩など道の端にクルマを駐めること。

それから同乗者をガードレールの外側に避難させる。発炎筒を使用するのは、そのあとだ。

発炎筒と、三角停止表示板(これについては後で説明する)は、クルマから50m以上後方に置く。悪天候や道路の形状で見通しが悪い場合は、もっと後ろに置いてもかまわない。

それから、携帯電話か高速道路なら路肩にある非常電話を使って救援を頼むことになる。

なお、三角停止表示板については車載は義務づけられてはいないが、高速道路上で故障や事故などによってクルマを停めざるを得ない場合は、三角停止表示板などの停止表示器材を設置しなければならないという義務がある。

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