【F1】ルイス・ハミルトン 英国最高のアスリートなのか? 実像に迫る 後編

公開 : 2019.12.08 16:50

今年6度目のF1ワールドチャンピオンのタイトルを獲得したルイス・ハミルトンですが、この稀代のF1ドライバーに対しては地元英国でもさまざまな評価があるようです。今回はそんなハミルトンの実像に迫るべく、彼のこれまでのキャリアを関係者とともに振り返ってみました。

もくじ

レースにおける知性
マシンのお陰?
好感度調査
番外編;引退にはまだ早い

レースにおける知性

F1マシンはドライバーの肉体を限界まで追い込む。高速コーナーでは重力の5倍、ブレーキングでは常に重力の6倍もの荷重に耐える必要があり、しかもそれが90分以上も続くのだ。

だが、F1ではドライバーの知性も試されることになる。ドライバーたちは世界でもっともドライビングが難しいマシンをグリップの限界まで攻め込むとともに、他のドライバーたちよりも少しでも速く周回を行う必要がある。

シャルル・ルクレールの台頭はハミルトンを思い起こさせる。
シャルル・ルクレールの台頭はハミルトンを思い起こさせる。

これがレーシングマシンをドライビングするということであり、この点でハミルトンに勝るものはいない。

まさにアリソンが、「ハミルトンは信じられないようなオーバーテイクを見事に決めてきました。何よりも驚かされたのは、彼のクリーンでスマートなレース運びです」と話すとおりだ。

ハミルトンはコース上で他のドライバーにプレッシャーをかけることで、彼のマシンに接触するか、引き下がるか、それともミスをするしかないような状況に追い込むが、彼がそうした状況に陥ることは決してない。

過去2シーズンか3シーズンもっともハミルトンの犠牲者となっていたのがベッテルだ。昨年のモンツァでは、ベッテルのアウトに並んだまま1周目の第2シケインへと進入すると、ベッテルはそのままハミルトンのマシンに吸い寄せられるようにスピンを喫している。

このレースを落としたベッテルが以降チャンピオンシップ争いの主導権を取り戻すことはなかった。

「ルイスはコース上を走行していただけです」とアリソンは言う。

「決して簡単ではありませんでしたが、セバスチャンは逃げ場を失ったのです。驚くべきことですが、まったく問題のない方法でした。他のドライバーのコースを防ぐことのない、見事なドライビングです」

マシンのお陰?

ハミルトンの偉業を不当に低く評価するひとびとは、2014年にターボバイブリッドエンジンが導入されて以降のメルセデスの圧倒的強さを指摘するが、ハミルトンの勝利を彼が最高のマシンに乗っているからだというのは単純に過ぎる。

例えば、2007年と彼が最初のタイトルを獲得した2008年だが、両シーズンともマクラーレンよりもフェラーリのマシンの方が戦闘力は高かった。

ルイス・ハミルトン
ルイス・ハミルトン

このことは、ハミルトンとアロンソのマクラーレンコンビと、フェラーリに乗っていたキミ・ライコネンとフェリペ・マッサのその後を見てみれば明らかだ。アロンソは後にチームメイトとしてこのふたりを上回る成績を残している。

2012年まで続いたハミルトンのマクラーレンにおけるキャリアで忘れてならないのは、当時のマクラーレンがベストなマシンであったことなどほとんどなかったという点であり、それでも彼はチームを離れるまでに21回の勝利を獲得している。

2103年にメルセデスへ移籍したものの、すぐに始まると思われていた黄金時代までには長い道のりが待っていた。この年ハミルトンはドライバーズタイトルを逃している。

2014年から2016年にかけてメルセデスの黄金時代が始まると、ハミルトン11勝に対してロズベルグは5勝と、チームメイトを完全に圧倒することとなった。2016年はタイトルを獲れなかったが、それも単にハミルトンのマシンの信頼性がロズベルグに比べて著しく低かったことが原因だった。

2017年と2018年、それぞれシーズン中盤まではフェラーリ製が最速マシンとして君臨していたが、ハミルトンは持ち前の安定した高いパフォーマンスを発揮することでタイトル争いに踏みとどまり続け、フェラーリとベッテルの自滅を誘っている。

もちろんメルセデスがハミルトンだけのチームだったわけではない。2013年の移籍以降、ハミルトンは62勝を上げているが、チームメイトによる勝利も30勝に達する。

ハミルトンの30勝は2017年にバルテリ・ボッタスがチームメイトになって以降に上げたものだが、このフィンランド人ドライバーはマシンの信頼性の問題から、このうち大半のレースで2位に入ることに失敗している。

「パフォーマンスに関して言えば、マシンの影響が大きくドライバーが関与する余地は減っています」とハミルトンは言う。

それでも、「チームでワンツーフィニッシュすることもあれば、他のチームがわれわれの間に割って入ることもあります。つまり最速のマシンだから必ずしも勝てるというわけではありません」と話している。

「これまでにはマシンの実力以上のものを引き出すことに成功したこともあります。まさにドライバー冥利につきます。マシンへのアプローチは変わりません。出来る限りマシンの性能を限界まで引き出したいと思っています」

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