【テスラ・モデル3と比較】ジャガーXE 2.0(3) 長期テスト 美ボディと動的性能

公開 : 2020.01.25 11:50

ジャガーのエントリーモデルとなる4ドアサルーンがXEですが、アウディA4やBMW 3シリーズには押され気味。実力に見合う評価が得られていないとも思えるXEの魅力を、長期テストで確認していきます。

積算1万4690km 身体に馴染んだシート

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
1万4500kmを超えた辺りから、ドライバーズシートの快適性が更に高まった。背もたれは従来以上に背中にフィットする。体格の良い人にはありがたいはず。

筆者の場合、クルマによってはにシートがくたびれてしまうこともある。おかげで、このクルマが自分だけのものだと実感できる。体格の細い人は、同じような経験はしないだろう。

ジャガーXE 2.0 Rスポーツ(マイナーチェンジ前・欧州仕様)
ジャガーXE 2.0 Rスポーツ(マイナーチェンジ前・欧州仕様)

積算1万4810km 小変更後でも美しさはそのまま

ジャガーXEは、マイナーチェンジを受けてRスポーツ200に置き換わった。だがクルマのプロポーションは本質では変更されず嬉しい。XEは美しいスタイリングを備えたコンパクトなサルーンのままだ。

ブラック・パッケージをまとったセシウム・ブルーのボディは特にルックスが良い。初期モデルでライバルに劣っていた目を引くような機能も、マイナーチェンジに合わせて装備されているようだ。

ジャガーXE 2.0 Rスポーツ(マイナーチェンジ前・欧州仕様)
ジャガーXE 2.0 Rスポーツ(マイナーチェンジ前・欧州仕様)

積算1万6486km テスラモデル3との比較

先日、ジャガーXEに乗ってロードテストの会場まで向かった。新しいテスラ・モデル3をじっくりと一般道で評価する機会だ。

当初はジャガーで行くことは考えていなかった。新しく誕生した電気自動車を英国で試乗する機会だと、単純に考えた程度だった。だがモデル3とジャガーXEは、コンパクトでスポーティなサルーンとして、使途での共通点が多いことが見えてきたのだ。

ジャガーXE 2.0 Rスポーツ(マイナーチェンジ前・欧州仕様)/テスラ・モデル3(欧州仕様)
ジャガーXE 2.0 Rスポーツ(マイナーチェンジ前・欧州仕様)/テスラ・モデル3(欧州仕様)

車重や価格、サイズ、スペースなど、主にパワートレインの違いよって生じる差異にも興味が湧く。確かめてみると、それぞれの強みが良く引き出されている。ジャガーは、従来的なクルマとして最後の存在になる、と実感させられた。

XEとモデル3とが接近する部分

テスラはわれわれが向かっている先を示している。10年ほどの間に、コンパクトサルーンがどのように変化していくのか、市場やメーカーに示しているように思えた。

どちらのクルマも中間管理職の大人が乗るための、洗練されたスポーティ・サルーンとしてデザインされている。ボディサイズはXEの方が10cmほど短く、テールエンドの高さは5cmから10cmは低い。

テスラ・モデル3(欧州仕様)
テスラ・モデル3(欧州仕様)

この低さは、ジャガーXEを筆者が高く評価する要素の1つでもある。ジャガーとしては最も安価なクルマにスポーティさを与え、テスラには備わっていない。

それとは対象的に、テスラは長いホイールベースの間に大きなバッテリーを搭載し、車高もそのぶん高い。フロントノーズは短く車内空間は広く見えるが、実際は前席も後席もジャガーと大きな違いはない。

価格と車重では驚くほどの共通性がある。テスラ・モデル3は、エントリーグレードの2輪駆動車を、英国では税負担が増える4万ポンド(568万円)以下に収めている。

これは政府の3500ポンド(49万円)の補助金を適用した後の金額で、結果として価格はジャガーXEに接近する。ジャガーXEのスターティングプライスは3万5000ポンド(497万円)くらいからで、オプションを入れると4万ポンド(568万円)になるのだ。

ジャガーXEの車重は1470kgから1650kgの間。テスラ・モデル3は後輪駆動モデルで1650kgから。航続距離が560kmに伸びる大型バッテリーを搭載し、4輪駆動となると1850kgに増える。モデル3の方が重いが、想像以上の大きな差とはいえないだろう。

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