【短距離の純EVとしては優秀】メルセデス・ベンツA 250e AMGラインへ試乗 後編

公開 : 2020.07.03 15:20

メルセデス・ベンツAクラスのPHEVとなるA 250e。短い距離ならEVモード走行も可能で、欧州では高い支持の獲得が予想されます。ですが、英国編集部は気になる点もあると指摘します。英国の一般道で評価しました。

改善を求めたいブレーキペダルの感触

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
メルセデス・ベンツA 250eでエネルギーの回生モードがオートの場合、ナビゲーション・システムの地図情報と、センサーで計測した先行車両との距離を利用。エネルギーの回生量を、自動的に制御してくれる。

エネルギーの回生量を高める手段として、このような複数の情報を利用するメーカーは、メルセデス・ベンツ以外にもある。だが、アダプティブ・クルーズコントロールと独立して機能させているメーカーは、ほとんどない。

メルセデス・ベンツA 250e AMGライン・プレミアム(英国仕様)
メルセデス・ベンツA 250e AMGライン・プレミアム(英国仕様)

おしなべて、PHEVをハイブリッド・モードで運転していると、ブレーキペダルの感触に違和感があることが多い。ジャンクションなどでアクセルペダルを放した際、エネルギーの回生による減速がどれだけ生じるのか、一貫性も得られにくい。

その前提のうえで、A 250eはブレーキペダルを踏み込んだ時の、クルマの反応と効きの強さが予想しにくいと感じた。どれだけエネルギーを回生できているのかも、わかりにくい。

A 250eはペダルの踏み込み時に、エネルギー回生を働かせると同時に、踏み込み量で摩擦ブレーキの強さも調整している様子。その結果、複雑になり、制動力の反応が掴みにくいのだろう。

おそらく、減速時のエネルギー回生は効率的に行えるのだとは思う。だが筆者はなにより、クルマはスムーズで運転しやすいものであってほしいと思う。

普通の速度域なら乗り心地や操縦性も良好

エンジンとモーターを組み合わせて運転する場合、ドライビング・モードはインディビジュアルとスポーツ、コンフォート、エコが選べる。どれを選んでも、初期のアクセルレスポンスには優れる。

環境に優しいモードになるほど、内燃エンジンと8速ATのアクセルへの反応は鈍くなる。郊外へ出たら、毎回スポーツ・モードへ変更するドライバーも多いだろう。

メルセデス・ベンツA 250e AMGライン・プレミアム(英国仕様)
メルセデス・ベンツA 250e AMGライン・プレミアム(英国仕様)

走行性能自体は充分に力強い。特にマニュアルモードで低いギアを選んでいれば、電気モーターのトルクが加算され、低回転域から鋭いピックアップが得られる。

ただし1.3Lエンジンは、あまり高回転域が好きではない。4000rpmを超えるとノイズが大きくなり、必死感が伝わってきてしまう。ドライバーが熱い走りに夢中になるのを、制限するようだ。

サスペンションは、通常の固定ダンパーを採用。ドライビング・モードを変えても、減衰力などは変わらない。

スプリングは柔らかめで、高速道路ではかなり快適。街中で、大きなつぎはぎを超えた時も同様だ。一方で、車内にはかなりの音量のロードノイズが響いてくる。外界との隔離感は、充分ではないといえるだろう。

垂直方向の姿勢制御はやや詰めが甘く、速度を上げると、重い車重の割に減衰力が弱く感じられる場面もある。コーナリング時の姿勢制御は良好で、一定の速度域までなら、操舵感も正確だ。

グリップ力は、横荷重に対してやや弱く、加速時のトラクションもそれなり。ペースを速めていくと、落ち着きに欠く場面はありそうだ。

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