【運転の楽しさはPHEVで一番】BMW 545e プロトタイプ 3.0L直6採用 後編

公開 : 2020.08.29 10:20

四輪駆動のプラグイン・ハイブリッドを採用した、BMW 5シリーズの試作車へ英国編集部が試乗。上質なドライビング体験と洗練性、経済性の高バランスが取れていると評価しています。ツーリングへの期待も高まる内容です。

モーターもエンジンも力強く効率的

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMW 545e xドライブ運転環境は、とても快適で心地良い。プロトタイプとはいえ、インテリアの仕上げ品質や素材感も素晴らしい。

ドライブ・モードは3種類。エレクトリックとハイブリット、スポーツの中から、センターコンソールのボタンで選択する。バッテリーと記されたボタンもあり、内燃エンジンを発電機がわりに使うこともできる。

BMW 545e xドライブ・プロトタイプ
BMW 545e xドライブ・プロトタイプ

ドライブ・モードを上手に選べば、545e xドライブを望んだ通りに走らせることも難しくない。ハイブリット・モードを選んでいれば、素晴らしいエネルギー効率で走れる。

速度だけでなく、地形など多くの要因を総合的に判断し、最適なエネルギー源を自動的に選択してくれる。ドライバーはクルマ任せでも大丈夫。

PHEVの545e xドライブは、基本的に電気モーターの力のみで発進する。ドイツの作曲家、ハンス・ジマーが開発した、合成音をスピーカーから発しながら。

バッテリーの充電量が充分なら、かなりの距離をエンジンへ頼らず走行できる。都市部での走行に多い、発進加速や低速域からの加速の鋭さは、印象的ですらある。

アクセルペダルを深く踏み込むか、バッテリーの充電が不足してくると、直列6気筒エンジンが目覚める。ほとんど気づかないほどの仕草で。滑らかだから、4気筒の530eと比較して、メカニズム的な洗練度も良く感じられる。しかも、かなり強力。

驚くほど滑らかで落ち着いたマナー

運転していると、メーター用モニターとヘッドアップ・ディスプレイに、クルマ側からの提案が表示される。長い下り坂でアクセルを離すと、エンジンが停止し回生ブレーキが作動。1kmから2km程度走行できる電気を、充電できる。

545e xドライブで最も輝くのは、スポーツ・モードだ。エンジンとモーターを連続的に協働させ、ハイブリット・モードよりはるかに強力なパフォーマンスを楽しめる。

BMW 545e xドライブ・プロトタイプ
BMW 545e xドライブ・プロトタイプ

アウトバーンでは、驚くほど滑らかに、落ち着いたマナーで160km/h超の速度域へ加速。緊張感や不自然さを感じることなく、まるでV8エンジンが載っているかのようですらある。

ステアリングホイールの操舵感は重め。オプションのBMWアクティブ・ステアリングを選べば、後輪操舵機能が追加され、545e xドライブは目を見張るほど機敏に振る舞う。市街地での低速域でも、郊外の高速域でも。

リアシート側に追加されたバッテリーの重量にも関わらず、攻め込んだ領域でのバランスは極めて良い。四輪駆動システムが、確かなトラクションを保ち続けてくれる。

試乗したプロトタイプには、オプションのMスポーツ・サスペンションが装備されていた。だが増えた車重に伴い、車高は標準の5シリーズと変わらない。

姿勢制御も素晴らしい。乗り心地は引き締まっているが、路面の凹凸を見事にいなす。アダプティブ・ダンパーの迅速な処理のおかげだろう。

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