【先取りの高性能ワゴンと高級SUV】レンジローバーとトライアンフ2.5 PI 前編

公開 : 2020.08.29 07:20  更新 : 2020.12.08 08:35

初代レンジローバーと、トライアンフ2.5 PI エステートという英国製ワゴン。1970年初頭の英国から登場した2台は、現在の高性能エステートや高級SUVを先取りしたモデルといえました。英国編集部が振り返ります。

もくじ

ブリティッシュ・レイランドの先見性
都会的でハンサムな高級エステート
新しいライフスタイルを提示したSUV
サルーンをもとにカーボディーズ社が製造
MkIIの2.5 PIエステートは4102台のみ

ブリティッシュ・レイランドの先見性

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国に存在した巨大な自動車メーカー、ブリティッシュ・レイランド社。若い世代の中には、傾いた英国自動車産業を代表するようなイメージを持つ人もいるだろう。

世界で最も先見性の高い、ラグジュアリーなSUVを1970年に発売したと聞いても、信じにくいかもれない。冗談抜きに、ドイツを含めるほかのブランドにはない、優れた技術と革新性、ファッション性を備えていた。

ランドローバー・レンジローバー/トライアンフ2.5 PIエステート
ランドローバー・レンジローバー/トライアンフ2.5 PIエステート

われわれが思い描く、ブリティッシュ・レイランドの暗いイメージとは大きく矛盾する。確かにその頃はストライキが続き、品質は悪く、デザインも精彩を欠いていた。でも、ぼやけたマリーナやアレグロだけではなかった。

ブリティッシュ・レイランドは、多くの人々へ様々なモデルを提供していた。ディムラーのリムジンから、コンパクトなミニまで。

旧式なモーリス・マイナーやオックスフォードが、1970年にも新車で売られていたことは事実。しかし並行して同じ傘下から、世界でトップクラスのサルーンとして認められた、ジャガーXJ6も売られていたのだ。

1969年に登場したレンジローバーは、ブリティッシュ・レイランドでも特に際立つ存在だといえる。同じ頃、四輪駆動が不必要なら、近い金額でトライアンフ2.5 PIエステートというモデルも選べた。

都会的でハンサムな高級エステート

トライアンフは世界に先駆け、ファミリー向けワゴンにガソリン・インジェクション(PI)を採用。高級なエステートボディは、ドイツ・ブランドが目をつける前だった。

プジョーやメルセデス・ベンツでも、インジェクション・エンジンは選べるようになっていたが、エステートボディは不在。トライアンフ2.5のエステートは当時、世界で唯一手に入る、インジェクション・エンジンの高級ワゴンだった。

トライアンフ2.5 PIエステート(MkII/1969年〜1975年)
トライアンフ2.5 PIエステート(MkII/1969年〜1975年)

2000サルーンをベースにした、都会的でハンサムな2.5 PIエステート。スタイリングを手掛けたのは、デザイナーのミケロッティだ。1970年初頭の欧州では、最も容姿の良いワゴンだったといえる。

2.5 PIエステートが現役だった頃、スタイリングと実用性を見事に両立させたデザインは、ほかに思い浮かばない。ローバー2000とともに、コンパクト・エグゼクティブという新しいセグメントを生み出した。

ただし、ルーカス製のフューエル・インジェクションを採用する2.5 PIは、レンジローバーと並んで登場した新モデルではない。オリジナルは1965年のトライアンフ2000エステート。1969年にMkIIとして、マイナーチェンジを受け、2.5 PIを名乗っている。

レンジローバーに社運をかけていたローバー社。ローパーP6に、エステートを用意することはなかった。コーチビルダーのパネルクラフト社が、特別なワゴンボディを提供していたが。

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