【燃料電池技術】ゼネラルモーターズ、米ニコラと提携 新型ピックアップ製造で

公開 : 2020.09.14 22:15

米GMは、EVスタートアップ企業のニコラと提携し、新型ピックアップトラックのEVとFCVモデルを製造します。コスト削減や水素燃料技術の共有といったメリットがあるとのこと。GMはさまざまな提携に取り組んでいます。

ニコラ・バジャーの製造を委託

text:Will Trinkwon(ウィル・トリンクウォン)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ゼネラルモーターズ(GM)は、EV新興企業のニコラ社と提携し、ピックアップトラック「バジャー」のEV仕様と水素燃料電池(FCV)仕様を製造することになった。

GMが20億ドル(2124億円)を出資する契約の一環として、バジャーにはGMのアルティウムバッテリーシステムとハイドロテック燃料電池技術が採用される。

GMのメアリー・バーラCEO
GMのメアリー・バーラCEO

米アリゾナ州に拠点を置くニコラは、GMに11%の株式を与えるのと引き換えに、GMの部品やコンポーネントへのアクセスを得る。

GMがバジャーを製造する一方で、ニコラは販売とマーケティングを担当する。また、ニコラは今後発売される大型トラックの「ワン」、「トゥー」、「トレ」、「NZT」の各モデルを自社の名前で販売していく。

12月に正式発表される予定のバジャーは、最大906psと135kg-mのトルクを発生し、0-97km/h加速を2.9秒で駆け抜けるという。牽引能力は3600kg以上とされている。

テスラ・サイバートラックやリビアンR1Tの直接のライバルとして期待されているが、米国市場以外では販売されないだろう。

ニコラの創業者で会長のトレバー・ミルトンは次のように述べている。

「ニコラは、何十年にもわたるサプライヤーと製造に関する知識、検証されテストされた生産可能なEVの推進力、世界クラスのエンジニアリング、そして投資家からの信頼をただちに得ることができます。何よりも重要なのは、ゼネラルモーターズがニコラの成功に既得権を持っていることです」

GMのメアリー・バーラ会長兼CEOは次のように述べている。

「わたし達は、バッテリーと燃料電池のコストを下げ、収益性を向上させるために規模を拡大しながら、複数の大量生産EVセグメントで存在感を高めています」

燃料電池の普及はまだ遠い

ニコラとの契約は、GMにとって複数のメリットをもたらすと期待されている。

ニコラの株式価値を通じて40億ドル(4249億円)の利益を得ることができるだけでなく、バジャーの製造、バッテリーと燃料電池のニコラへの供給、さらには同社の燃料電池技術をピックアップ市場にまで拡大することができる。

ホンダとGMも提携関係にある。
ホンダとGMも提携関係にある。

この提携により、ニコラは今後10年間でバッテリー、パワートレイン、エンジニアリング、検証にかかるコストを50億ドル(5312億円)以上削減し、さらにワン、トゥー、トレ、NZTの生産コストを削減することができると期待されている。

GMが取り組んでいるのは、この提携だけではない。2013年以降、GMはホンダと共同で、その技術の商業化に取り組んでいる。両社は2017年、将来のモデルに搭載する先進的な水素燃料電池パワートレインの開発に8500万ドル(90億円)を投資した。

同年、GMは2023年までに少なくとも20車種のEVを発売する計画を発表した。しかし、最近、一般消費者向けのFCVはこの中には含まれないことが確認された。

GMがいつ水素技術を自社モデルに導入するのかは不明だが、シボレー・ボルトEVが水素技術を導入するという予測もある。

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