ランボルギーニ・アヴェンタドールLP700-4

公開 : 2013.11.13 23:30  更新 : 2017.05.29 19:21

イントロダクション

ランボルギーニ・アヴェンタドールLP700-4、特に鮮やかなアランシア・アルゴスにペイントされたモデルをドライブするのであれば、何かのアクシデントだとしか思えないボディ・サイドのブラックに塗られたエアインテークを塗りつぶしてしまうのがベストと思える。

ドライブする分には、アヴェンタドールは0-100km/hを3.0秒未満でこなす691bhpのスーパーカーに期待する動力性能にも引けを取らないほど安全なクルマだ。しかし、他のドライバー達の注意を前方の道路から逸らす道具のパワーとしては空前のものだろう。クラッシュしてしまうことこそないだろうが、有り余るパワーというものを知ることになるだろう。

しかし、これこそスーパーカーのオーナーが求めていることではないだろうか? 先祖のムルシエラゴやディアブロ、カウンタックのようにアヴェンタドールも第一に人目を引く道具であり、サラブレッドのような速さはその次に求められることである。

恐らくその通りだろうが、このクルマの存在自体が祝福されていないわけではない。パガーニやケーニッグゼグのような製造台数が1桁や2桁のごく限られたモデルを除外すれば、主たるプロダクション・モデルの中ではアヴェンタドールが唯一の存在だ。

アヴェンタドールには最先端のテクノロジーも搭載されているが、本質的には昔ながらのスーパーカーそのままだ。非常にワイドで極めて低いマシンは、乱暴なまでにパワフルで古典的な自然吸気のV12エンジンを積んでいる。これは40年以上前にカウンタックが初めて公の場に姿を現した時と寸分違わぬ内容だ。

ランボルギーニはアヴェンタドールにクーペと同様にロードスターもラインナップしている。2ピース構造のカーボンファイバー製タルガ・トップはわずか6kgで、取り外してノーズ部分に収納することも可能だ。

スーパーカーに求められるものは異様なルックスだけではない。そしてアヴェンタドールにはフェラーリF12ベルリネッタ、マクラーレンMP4 12C、メルセデス・ベンツSLSのような極めて優秀なライバルが存在するが、これらを前に検討に値するのだろうか? 確かめてみよう。

デザイン

高度に進化したディアブロとも言うことのできたムルシエラゴとは異なり、アヴェンタドールは完全に新設計のモデルだ。

ランボルギーニは夢のスーパーカーの仕様をじっくり策定する機会を設けたのだ。フル・カーボンファイバー製のモノコック、完全新設計の6.5ℓV12エンジン、レース由来のプッシュロッド・サスペンションなどが用いられた。

しかし、エヴァ・ハーツィゴヴァのワンダーブラの屋外広告にも匹敵するほど、他のドライバー達の注意を逸らす存在でなければランボルギーニではないだろう。ランボルギーニ・チェントロ・スティーレの手による内製デザインであり、そのスタイル一つをとっても、£250,000(3,990万円)積むだけの価値があると確信する人だっているほどものだ。可倒式リア・スポイラーを搭載しており、他にも可変バルブ・タイミングと4本のカムシャフト、48バルブを備えたエンジンにオーバー・ヒートの恐れがあるときサイドから大きな冷却孔が出現する。

ギア・ボックスは7段のロボタイズド・マニュアルで、ランボルギーニよればこの手のギア・ボックスの中では最速の変速スピードを達成したという。同社は今やフェラーリお気に入りのデュアル・クラッチ式のオートマチックよりも、このギアボックスを採用した理由として軽く、コンパクトであることを挙げている。3ペダルの設定はない。

ギア・ボックスを介して四輪に伝わるパワーの配分はセンターのハルデックス・カップリングにより制御される。フロントには電子制御式デフ、リアにはロッキング機構の付いた機械式デフが備わっている。

インテリア

過去40年間にわたり、V12を搭載したミッドシップのランボルギーニは例外なくシザー・ドアを採用してきた。この伝統は最新のアヴェンタドールでも破られてはいない。

このドア・デザインは乗員の息をのませるが、乗り込むのが厄介な上に降りるときも不恰好だ。背の高い乗員は上向きに反ったエッジに頭をぶつけぬよう注意しなければならない。

乗り込んでみると、破棄された秘密開発の戦闘機から取っ払ってきたかのようなTFT液晶の計器盤が見た目に嬉しい。加えて、人目を引くことが目的の多くの計器類とは異なり、実際に動作するのだ。だから、先代アウディA4から流用された中央のナビゲーション・ディスプレイと並んで、辛うじて偽装こそ施されているがMMIスイッチ・ギアが見受けられるのは残念でならないのだ。

1992年にフェラーリが456を作った時、目に見える部分でフィアットのパーツやコンポーネントを排除したおかげでインテリアのクオリティが向上したが、それから20年が経ちと、てつもない価格にも関わらず、ランボルギーニのフラッグシップは456を見習う気はなかったようだ。

しかし、このことからは少なくともアヴェンタドールのキャビンは分かりやすく、操作性も高いと言える。そして、アヴェンタドールの新しいデザインは完璧なドライビング・ポジションをもたらなさなかったものの(シート・レールとステアリング・コラムをより前後方向に調整できると良い)、その低さとワイドさを考慮すると視界は極めて良好だ。

ラゲッジ・スペースの広さも印象的だが、実際に多くの荷物を積む機会はほぼないだろう。グローブ・ボックスは極めて小さく、両シートの間には明らかにアウディとわかるキーと、その他の細々とした物しか入らない小さな蓋付きのボックスがある。

パフォーマンス

ランボルギーニによればアヴェンタドールはパフォーマンスにおいて今や最上級の部類に入るクルマであり、静止状態から100km/hまで3.0秒未満、厳密には2.9秒で達する。

691bhpの出力、ミッドシップ・レイアウトに4WDと、度肝を抜かれるようなローンチ・コントロールの組み合わせが生み出すトラクション、更に0.05秒でのシフトアップが可能なギアボックスを考慮すれば、このタイムに疑いはないだろう。0-161km/h加速も6.5秒前後でこなすと予想される。

クルマの大きさ、見た目、パワーが威圧的なことに疑いの余地はないが、そのことにはすぐ慣れる。確かにとてもスムーズでリニアなパワー・デリバリーだが、マクラーレン12Cのようなパフォーマンスで幾分劣るクルマと比較しても、ターボの腹を蹴飛ばされるようなドラマチックな加速感は無い。

イタリアンV12の最も素晴らしい伝統に則り、アヴェンタドールのエンジンはまるで実用エンジンのように1000rpmからでも引っ張ることができて、回転を上げて行くに連れてパワーは徐々に盛り上がり、段々とエンジン音を研ぎ澄ませていく。ピーク・パワーを発生する8250rpm付近では甲高いクレッシェンドとなる。アストンV12が奏でる音は更に豊だが、スーパーカーの後部に取り付けられるV12の中でも最高峰の一基であることに疑いはない。

ただ一つ、ギアボックスさえこの素晴らしいエンジンと同じ水準に達していれば良かったのだが。確かに小型で軽量なのだろうが、パフォーマンス評価の星をゼロにしてしまえるほど酷いミッションだ。マニュアル又はオートマチック・モードが選択可能であり、どちらでもストラーダ及びスポーツのセッティングを選べる。マニュアル・モードに限りさらに過激なコルサも選択可能だ。

どのセッティングにおいてもクリープができないために駐車は不快なものとなるし、オートマチック機能はもたつく上にギクシャクしている。従って、マニュアルのみが賢明な選択肢となる。ただし、ストラーダに設定すると変速は単純にとても重々しいし、コルサではとても獰猛で変速ショックは体に痛みを覚えるほどであった。ただ一つ頭に浮かぶのはミッション・マウントに何が起きているかだけだ。

従って、5段階の構成の中でスポーツ・マニュアルのみが有効な選択肢となる。この構成を選択した上でガスを抜くように慎重なパドル操作を心がければアヴェンタドールをスムーズに走らせることができるが、パドル・シフト導入により廃止されたものの、3ペダルのクラッチ操作をした方が楽だと思えるぐらいの集中力が求められる。

乗り心地とハンドリング

ランボルギーニのシャシー・エンジニア達が実際にアヴェンタドールで英国の公道をドライブした上で、その乗り心地が適切だと判断したとは思えない。

スーパーカーにリムジンのような乗り心地を期待する人はいないとはいえ、特に低速域でのアヴェンタドールの柔軟性の低さは、49号線を通る他のクルマの乗員が皆羨ましく思えるほどひどいものだ。

確かに速度が上昇するにつれて乗り心地はスムーズになり、辛うじて容認できるものにはなるが、特にウェット路面において公道よりもトラックに合わせたスプリング・レートの問題は健在だ。低速コーナーでアヴェンタドールはかなりのアンダーステア傾向となる。このステア特性を際立たせているのは恐らくリアのタイトなデファレンシャルだろう。しかしながら、4WDのおかげでトラクションはそれでも際立っている。

その他にも美点はある。油圧ステアリングは完璧なギア比と正真正銘のフィールを持った素晴らしいもので、グリップが続く限りインチ単位でのコントロールを可能にしてくれる。そして速く走るほど、アヴェンタドールの良さは際立つ。低速ではノーズがコーナーの頂点から離れていくが、長く開けた幅の広いコーナーを見つけることができて、思い切って普通のクルマが田舎の道を飛ばすような速度で侵入することさえできれば、ハンドリングは卓越していると言ってもよい。

335サイズの太いリア・タイヤがもたらすグリップは驚異的であり、クルマが狙い通りのラインから外れても、微弱なリフトが綺麗にラインに戻してくれる。低速で見られた特性とは正反対に、高速域でアヴェンタドールは極めて高いバランスを誇る。

予想していた通り、ランボルギーニ・アヴェンタドールには強大なカーボン・セラミック・ディスク・ブレーキが備わっている。制動力そのものは並外れているが、われわれが同時に行った冷たく湿った道でのテストでは、踏み始めの効きは良くなかった。

ランニング・コスト

マクラーレン12Cや同等のパワー・ウェイト・レシオを持つクルマについて調べたなら、12Cが8.5km/ℓを達成できるという事実に目を丸くすることだろうが、同サイクルでのアヴェンタドールの燃費はわずか6.2km/ℓだ。

その反面、一つ前のムルシエラゴが4.8km/ℓだったことからすればこれを進歩と呼ぶ人もいるだろう。

どちらにせよ、4kmおきに大気中に1kg余分にCO2を排出する見込みであることから、ランボルギーニのオーナー達は実際そのように考えるのだろう。

長所に目を向けるとアヴェンタドールのリセールバリューは高いことと、維持費も法外なものになるだろうとはいえ、少なくともランボルギーニ・ディーラーのファーストクラスのサービスは期待できることだ。

いつも通りだが、オプション・リストには注意が必要だ。電気ヒーター付シートとパーキング・カメラを合わせた価格はダチア・サンデロ一台分を上回る。

結論

良い バットマンに登場しそうなスタイリング、古典的なスーパーカーのプロポーション、傑出したエンジン
悪い 低速での酷い乗り心地、いまいましいギアボックス、アウディの影響を受けたインテリア

先代のムルシエラゴを比較すれば、ムルシエラゴをそろばんに例えるとアヴェンタドールはスーパー・コンピューターのようなクルマであり、この土俵のみで結論を出すのならアヴェンタドールは5点満点を獲得したであろう。

実際にはその近くにすら達していない。道路が広く、開けていて、通行量が少なく、完璧に舗装されている極めて稀な状況下では、恐らくアヴェンタドールは他のスーパーカー以上の楽しみをドライバーにもたらす。しかし、実社会における制限を少しでも取り入れるとなるとアヴェンタドールの落ち着きにはヒビが入り崩壊が始める。

破滅の原因となるのはとりわけ二つの問題だ。現代のパドル・シフト式トランスミッションの基準からすれば、最善の構成にしても全くふるわず、単純に他のどれと比べてもアヴェンタドールのギアボックスは不快だ。更に破滅的なものはやはり乗り心地だ。英国にはアヴェンタドールを楽しめる道路(サーキット)もあるのだが、そこへの往復の道のりは悩む余地もなく極めて不愉快になるだろうことが言える。

ランボルギーニ・アヴェンタドールにはわれわれが愛して止まない側面もある。例を挙げるなら、そのルックスとエンジンはデザインとエンジニアリングの分野で紛れもなく画期的なものだ。しかし、この側面をもってしてもこのクルマの他の部分を取り巻く失望感を晴らすことできない。

ムルシエラゴより軽く、速く、強力で高剛性となったことは紛れもない事実であるが、人々の心をつかんで離さないことが全てのイタリアンV12スーパーカーにとっての第一の務めだ。今回アヴェンタドールは同じくらい大きな飛躍を遂げたが、その方向性は誤りだ。

価格 4100万2500円
0-100km/h加速 2.9秒
最高速度 350km/h
公称燃費
Co2排出量
車両重量 1575kg
エンジン V12DOHC、6498cc
エンジン配置 ミッド縦置き
駆動方式 4輪駆動
最高出力 700ps/8250rpm
最大トルク 70.4kgm/5500rpm
圧縮比 11.8:1
変速機 5自動7段A/T
全長 4780mm
全幅 2030mm
全高 1136mm
ホイールベース 2700mm
燃料タンク容量 90リッター
サスペンション (前)ダブルウィッシュボーン
(後)ダブルウィッシュボーン
ブレーキ (前)ベンチレーテッド・ディスク
(後)ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ (前)255/35R19
(後)335/30R20

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