【とにかくよく見る】小さなSUV、なぜ売れる 人気車に共通の傾向 原点回帰の流行 価格以外の魅力も

公開 : 2020.10.06 05:50  更新 : 2021.10.22 10:14

1日に、何台の小型SUVを目にするでしょうか。なぜこんなにも売れるのか? 人気車種には共通の傾向がありました。また、200万円前後に落ち着く価格以外に、リセールバリューの高さも追い風になっています。

全長4400mm以内 コンパクトSUV

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

クルマにはさまざまなカテゴリーがあるが、最近注目されるのは、全長が4400mm以内に収まるコンパクトSUVだ。

2013年に登場したホンダヴェゼルは、2014年には1か月平均で約8000台を登録するヒット商品になった。2016年にはC-HRがデビューして、2017年には1か月平均で約9800台を登録した。

2018年に発売された時の国内販売目標は、軽自動車のジムニーが1年間に1万5000台(1か月平均1250台)、小型車のジムニー・シエラが1200台(1か月平均100台)。実際の販売台数はジムニーが目標値の約3倍、ジムニー・シエラが約20倍だ。
2018年に発売された時の国内販売目標は、軽自動車のジムニーが1年間に1万5000台(1か月平均1250台)、小型車のジムニー・シエラが1200台(1か月平均100台)。実際の販売台数はジムニーが目標値の約3倍、ジムニー・シエラが約20倍だ。    スズキ

直近ではダイハツトヨタに供給するOEM車のライズが2019年に発売され、2020年1/2/6月には、小型/普通車の登録台数1位になった。

コロナ禍の影響を受ける前の1/2月には、1万台前後を登録している。

ライズの姉妹車になるダイハツ・ロッキーも、C-HRやフォレスターと同等の台数を登録した。

ダイハツは2016年にトヨタが100%出資する完全子会社になり、それ以降に発売されたブーン/トール/ロッキーは、軽自動車ではないが販売に力を入れている。この影響もあって、ロッキーも売れ行きを伸ばした。

ジムニーの人気も注目される。2018年に発売された時の国内販売目標は、軽自動車のジムニーが1年間に1万5000台(1か月平均1250台)、小型車のジムニー・シエラが1200台(1か月平均100台)であった。

それが直近の売れ行きを見ると、ジムニーが1か月に3500台前後、ジムニー・シエラも2000台前後を販売している。

ジムニーは目標値の約3倍、ジムニー・シエラは約20倍だ。

ここまで好調に売っても、納期は依然として長い。販売店によると「ジムニーの納期は今でも約1年、シエラも10か月は要します」という。

一番の魅力 小さくても「正統派」

なぜここまで小さなSUVが人気を高めたのか。

トヨタの販売店は、ライズの人気に関して以下のように返答した。

トヨタ・ライズ。ヴィッツ(今のヤリス)やルーミーといったコンパクトカーからの乗り替えと、RAV4やヴォクシーのような上級車種からのダウンサイジングがあるという。
トヨタ・ライズヴィッツ(今のヤリス)やルーミーといったコンパクトカーからの乗り替えと、RAV4ヴォクシーのような上級車種からのダウンサイジングがあるという。    トヨタ

「ライズの需要には、ヴィッツ(今のヤリス)やルーミーといったコンパクトカーからの乗り替えと、RAV4やヴォクシーのような上級車種からのダウンサイジングがあります」

「いろいろなお客様のニーズが重なって売れ行きを伸ばしました」

「ライズは外観がSUVらしくてカッコ良く、5ナンバー車だから運転しやすいことが好調に売れる理由になっています」

今はSUVが人気だが、以前に比べると、野性的な雰囲気の外観が好まれる。ハリアーは都会的な上級SUVとして不動の地位を築いたが、悪路指向の強いRAV4の売れ行きも好調だ。

RAV4はハリアーと違って2WDのグレードが少なく、大半が4WDになる。

ハイブリッドの選択肢も限られるが、野性的な外観と悪路走破力を高める走りの機能が人気を呼んだのだ。

そしてライズとロッキーの外観には、RAV4を小さくしたような印象がある。5ナンバーサイズのボディも貴重な存在だ。

スズキ・クロスビーも5ナンバーサイズのSUVで、車内が広くファミリーに適するが、外観はミニバンやハイトワゴンに似ている。

その点でライズとロッキーには、正統派SUVのイメージがあり、後席と荷室も狭めながら実用性を併せ持つ。

SUVらしさ、実用性、運転のしやすさなどのバランスで人気を高めた。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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