【まるで1クラス上】日産ノートに試乗 気になるワンペダル操作/乗り心地/ノイズを検証 誰に最適なクルマか

公開 : 2020.12.07 12:01  更新 : 2021.10.09 23:24

日産ノート(2020年型)に試乗しました。プラットフォームが変わり、走りの質感は「1クラス上」と言えます。乗り心地や室内のノイズまで検証します。

電動戦略 第2ステージの皮切り

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

初代ノートはファミリー用途に対応できるBセグとして開発。

2代目ではファミリー色を弱めてはいるが、同クラスでは広いキャビン等を利したプレミアム感の演出によりポストファミリーのダウンサイザーに軸脚を移した。

日産ノート(2020年)。ガソリン車を廃止し、eパワーのみの構成とした。eパワーは一体型インバーターと高効率型モーターの採用やエンジンの高効率化等の改良が加えられた新型に。
日産ノート(2020年)。ガソリン車を廃止し、eパワーのみの構成とした。eパワーは一体型インバーターと高効率型モーターの採用やエンジンの高効率化等の改良が加えられた新型に。    神村 聖

3代目となる新型車は先代路線、すなわちダウンサイザーを中心にしたプレミアム性を一層強化したモデルになっている。

要点の1つが車種構成だ。ガソリン車を廃止し、eパワーのみの構成とした。つまりハイブリッド専用車となったわけだ。

eパワーは従来どおりシリーズ式ハイブリッドを用いるが、一体型インバーターと高効率型モーターの採用やエンジンの高効率化等の改良が加えられた新型となっている。

ハイブリッド車では珍しく油圧回生協調電子制御ブレーキのも従来と同じであり、回生効率向上のためエンブレ回生域を強化した「ワンペダル感覚」のeパワー・ドライブの改良及び適応走行モードの拡大を図っている。

パワートレイン系でもう1つ見逃せないのが遅れて追加される予定の4WD。後輪を独立した電動駆動とするのは従来と同じだが、モーターを直流3.5kW型から交流同期50kW型に変更。

全車速域を4輪で駆動するとともに後輪からの回生制御も追加するなど4WD性能の向上だけでなくパワートレインとしても性能向上が図られる。2021年に発売が予定されているクロスオーバーEV「アリア」での開発技術派生の設計でもある。

つまりノートは日産の電動戦略第2ステージの皮切りモデルでもあるのだ。

気になるワンペダル 先代との違い

第2世代eパワーの主眼は走りの質感の向上だ。

先代では電動感を誇張した感が強かった。具体的には踏み込み時の蹴り出すような初期加速や即応性だ。それをしてじゃじゃ馬にしない駆動トルク変動の抑制等の制御技術も見所の1つだった。

日産ノート(2020年)の電制シフト。前後の動きのみで操作する。
日産ノート(2020年)の電制シフト。前後の動きのみで操作する。    神村 聖

新型は後者の駆動トルク変動の抑制に象徴される滑らかさを全面に出している。

即応性はそのままにペダルコントロールに自然に加減速。滑らかさと力強さが高水準で両立。多少荒っぽいペダルコントロールをしても車体を揺するような反応はない。

踏み込み加減に応じた過不足ない加速が動力性能面の質感を高めている。

これは「ワンペダル感覚」でも同様である。エンブレ回生強化モードはエコ/スポーツのD/Bレンジで機能。

アクセル全オフ時の減速度はDレンジでは最大0.15G、Bレンジでは最大0.18Gに制御。効率的なエンブレ回生ができるのだが、見所はコントロールしやすさ。巡航からのアクセル全オフでも唐突な減速感が抑えられている。

空走から緩エンブレくらいのコントロールもしやすくなり、緩やか登降坂での巡航速度制御も容易になった。

また、先代ではワンペダルで停車までカバーしたが、新型では停止前にクリープ走行に移行する。

結果、一般的なBレンジ走行と大差なくなったわけだが、停車にブレーキペダルを踏むのはセオリーでもあり、コントロール性の改善と合わせて好ましい変更と言える。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

日産 ノートの人気画像