クルマの素性浮彫り 氷上で試す日産車 光るアリアe-4ORCEのドライバビリティ フェアレディZでドリフトも

公開 : 2023.01.30 11:00

クルマの素性が浮彫りになる氷上での試乗会。日産アリア四駆やサクラに試乗し、年々進化する「技術の日産」を体感しました。

なぜ氷上で試乗? 滑らせてわかること

毎年冬に開催されている試乗会、ニッサン・インテリジェント・ウインター・ドライブ。今年は長野県の標高1540mの山の上、カチカチに凍り付いた女神湖の湖面で開催された。

この試乗会は近年さまざまなパワートレイン、そして駆動方式のモデルをラインナップしている日産車の本質を知るまたとない機会といえる。

長野県の女神湖の湖上で開催されたニッサン・インテリジェント・ウインター・ドライブ。路面のミューが極端に低くなる氷上では、クルマの素性の部分がドライバビリティに如実に反映されるという。
長野県の女神湖の湖上で開催されたニッサン・インテリジェント・ウインター・ドライブ。路面のミューが極端に低くなる氷上では、クルマの素性の部分がドライバビリティに如実に反映されるという。

路面のミューが極端に低くなる氷上では、スタッドレス・タイヤをもってしても大したグリップは期待できない。

その代わりにパワートレインや駆動方式、駆動力制御、前後重量配分といった素性の部分がドライバビリティに如実に反映される。

これは普段、一般路の試乗では体感できないものである。

今回の試乗車はeパワー(発電用エンジンを積むシリーズハイブリッド)の電動AWDモデルであるノートとキックス

同じくeパワーのオーラはAWDとFFの両方が用意されていた。

さらにはBEVの軽自動車であるサクラと話題の後輪駆動スポーツカーフェアレディZも顔を揃える。

だが中でも注目の1台は、昨年6月にデビューしたBEVのクロスオーバーであるアリアのAWDモデル、アリアe-4ORCE(eフォース)である。

車体の前後に駆動用モーターを備え、ブレーキとともに四輪の駆動を統合制御するe-4ORCE。最新の駆動システムの真価を体感するには氷上が最適というわけだ。

またBEVのアリアに対し、同じく前後モーターのe-4ORCEを備えるが、パワートレイン自体はeパワーの新型エクストレイルとの比較も興味深い。

巧みな姿勢制御 実力を示したアリア

アリアB9 eフォース・リミテッドが最初の試乗車だった。

スラロームや定常円でアリアをドライブしてみて最初に感じたのは、氷上らしからぬ安定感の高さだ。

EVの日産アリアにも試乗。
EVの日産アリアにも試乗。

ゆっくりとドライ路面を走っている感じで挙動も穏やか。パワートレインとブレーキのシームレスな制御はその仕事ぶりをほとんど感知させない。

一方、定常円のコーナリングではとにかくよく曲がる。

直径15mくらいまではステアリングで旋回している感覚が強いが、さらに円が小さくなるとベクタリングが効果を発揮し、まるでコマのように小回りできるようになる。

このようなeフォースの仕事ぶりが体感できるのは、まさに氷上ならではといえるだろう。

一般路でもeフォースはドライバーが狙った走行ラインを忠実にトレースするため、綿密な仕事をこなしているに違いないのだ。

また運転が意のままになるということは、氷上におけるドリフトコントロールが容易ということを意味する。

前51:後49という優れた前後重量配分も手伝ってほぼ真横にスライドするような圧巻のドリフトも楽しめた。

エクストレイルのeフォースはやはり滑りやすい路面でベクタリング機能が効率よく働き、直進したいor曲げたいという乗り手の意思を上手く汲み取ってくれる。

だがエクストレイルに乗って最も感心させられたのは、ハンドリングの制御や乗り心地に関して、アリアがどれだけ優れているかという部分だった。

やはり滑りやすい路面はクルマの素性を浮き彫りにするものなのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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