【未来を勝ち取れ】ルイス・ハミルトン 頂点に立ち続けるモチベーションとは AUTOCARアワード2021

公開 : 2021.06.14 18:05  更新 : 2021.06.14 19:24

史上最高にして唯一の黒人F1ドライバー、ルイス・ハミルトン。レースや差別との向き合い方を尋ねました。

グリッドに並ぶ唯一の黒人ドライバー

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

Netflixの「Formula 1: 栄光のグランプリ」のシーズン3最後のエピソードでは、若きルイス・ハミルトンがインタビューを受ける様子が映っている。レポーターは、「ルイスが勝ち始めると、グリッド上で唯一の黒人であるという事実が問題になった」と言う。

ハミルトンは、自分の成功についてではなく、カート時代に経験した人種差別的な言動について語った。「過去数年間、人種差別的な名前の呼ばれ方をしたこともありましたが、最近は誰に何を言われても無視するようにしているんです」

ルイス・ハミルトン
ルイス・ハミルトン

映像は父親のアンソニーに切り替わる。「勝つかどうかとか、肌の色がどうとか、そういうことを気にする人たちとは関わらないんです。わたし達はコースに出て、ベストを尽くすのみです」

その映像は胸を打つ。F1に出て、いつかはワールドチャンピオンになるという夢を持ちながら、差別を受け、非難されつつも、好きなことをしている少年の姿がある。「カートをやってみてどうですか」という質問ではなく、「肌の色で罵倒されるのはどんな感じですか」と聞かれるのだ。

36歳のハミルトンは、この頃を振り返り、「わたしはまだ8歳でした」と語り出す。「幼い8歳の子供を見下して、人生で何も達成できないと言う人がいるとしたら、その人はよほどまずい状況にいるのでしょう」

昨年5月、ミネソタ州で46歳の黒人米国人ジョージ・フロイドが白人警官に殺害される事件が発生した。この衝撃的な映像は世界中に流れ、世界的な反レイシズム運動の先駆けとなったが、その中でも最も声高なリーダーの1人がルイス・ハミルトンだった。

「ジョージに起きたことは、多くの感情を呼び起こしました」と、ハミルトンはNetflixの番組で語っている。「わたしの人生でこれまで抑圧してきたものが、突然表面に現れたのです。もう黙っているわけにはいきません」

「世界中のすべての黒人の子供たちはいずれ、人種差別を経験するでしょう。それが事実なんです。差別的な呼ばれ方をしたり、Nワードが飛び交ったり、自分の国にいるのに自分の国に帰れと言われたり……。文字通り、何百万人もの人々が(わたしよりも)はるかにひどい経験をしているんです。この状況を変える必要があります」

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