【未来を勝ち取れ】ルイス・ハミルトン 頂点に立ち続けるモチベーションとは AUTOCARアワード2021

公開 : 2021.06.14 18:05  更新 : 2021.06.14 19:24

成功を掴み、変化を起こす

フロイドに起きたことへの怒りに突き動かされ、7月にオーストリアで開催された2020年シーズンの第1戦のグリッドには、新しいルイス・ハミルトンが並んだ。レースに勝つための原動力は健在だが、それと同時に、活動家、反レイシズム運動家、そしてブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動の事実上のリーダーの1人という側面もあった。

ハミルトンは、他のドライバーとともにレーススタート時に膝をつき、スポーツ界の人種差別に対する抗議の意思を示した。ムジェロでは「ブレオナ・テイラーを殺した警官を逮捕せよ」というTシャツを着て表彰台に登った。

レース前、人種差別への抗議のため膝をつくドライバーたち
レース前、人種差別への抗議のため膝をつくドライバーたち

「わたしにフィルターはありません。心に思ったことをそのまま口にするんです。誰かを怒らせても、それが変化をもたらすのであれば、あまり気にしません。今年(2020年)に示したのは、成功を手にしたとき、それで何をしようとしているのかということです。もし、わたしがすべてのチャンピオンシップに勝ち、あらゆる成功を手にしたとして、そこで何も変化を起こさないなんて絶対にありえません」

英AUTOCAR編集部の記者は、今年のエディターズ・アワードを受賞したハミルトンにインタビューする数週間前にNetflixの番組を観た。エディターズ・アワードは、優れた成功を収めた個人にAUTOCARから贈られる賞だ。

あのNetflixの映像を見て、ハミルトンへの質問の仕方が変わったのは確かだ。グランプリ終了後、マシンから降りてすぐマイクを顔に押し付けられ、チームメイトとのバトルやタイヤの感想を聞かれるのとは違い、映像内の数分間で彼は自分の原動力やモチベーションを明らかにしているのだ。

しかし、わたし達が知るべきルイス・ハミルトンはもう1人いる。彼は、内心で彼の存在を望んでいなかった人たちと戦いながら、地味なスタート地点から信じられないようなことを成し遂げてきた、興味深く、明瞭な人物なのだ。

ポルティマンで開催されたポルトガルGPを前に、ハミルトンに話を聞いた。15分という限られた時間を与えられ、オンライン・ミーティングの画面の向こう側に置かれた空の椅子を見つめながら、英国のスポーツ騎士が着席するのを待つ間、記者の緊張がほぐれることはなかった。

記者が最後にインタビューしたとき、彼は上手くいっておらず、とても気まずかった(すぐにその場を離れたがっていた)記憶がまだ頭に残っていて、どうにも落ち着かないのだ。しかし、「昨年の結果はこれまでのキャリアで最大の出来事でしたか」という質問に対して、ハミルトンは最初から温かく、親しみやすく、コース上で起こったことだけでなくコース外でのエピソードも含めて、じっくり考えながら答えてくれた。

「そうですね、間違いなく去年が一番大きかったと思います。わたしは、ある地点に到達することを夢見て人生を過ごしてきました。それを達成してから、自分の目的というものが見えてきました」

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