【スーパーカーに並んだサルーン】フェラーリ328とアルファ・ロメオ・ジュリア 技術進歩を実感 後編

公開 : 2021.08.08 09:45

絶えず進化を重ねてきた、自動車技術。内燃エンジンの絶頂期にある今、憧れのスーパーカーと現代のスポーツサルーンを、英国編集部が比較しました。

ジュリアには敵わないステアリングフィール

text:Simon Hucknall(サイモン・ハックナル)
photo:Max Edleston(マックス・エドレストン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アルファ・ロメオ・ジュリアとフェラーリ328 GTBのサイズを比べると、ジュリアの方が388mm長く、130mm広く、308mm高い。ボディは大きくても剛性は遥かに高く、感取できるような捻れは一切生じない。

クルマの構造工学の進歩は、操縦性だけでなく、安全性の面でも飛躍的な向上を与えている。しかし、フェラーリの方がタイトで情報量が濃く、ドライバーとの関与は強い。

レッドのフェラーリ328 GTBと、ブルーのアルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ
レッドのフェラーリ328 GTBと、ブルーのアルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ

フロントが205/55、リアが225/60という328 GTBの細身のタイヤは、充分なグリップ力を発揮する。スプリングは硬めながら、ダンパーの減衰力が煮詰めてあり、速度が上昇するとともに喜びが増していく。

手のひらには充分な感触とフィードバックが、アシストの付かないステアリングラックを通じて伝わってくる。時にはキックバックも一緒に。

ステアリングの感触は、ジュリアには敵わない領域だ。ロックトゥロックは2.3回転と、328 GTBの3.25回転より遥かにクイックで、速度を問わず軽い。しかし、フェラーリ並みの一体感を生んでくれることはない。

近年は、排気音に対する騒音規制も厳しくなった。アルファ・ロメオを積極的に運転しても、存分に聴覚で浸ることもできなくなってしまった。

大きく異るドライバーを惹き込む手法

一方で、高次元のパフォーマンスを引き出しやすいのは、アルファ・ロメオの方。40年前のフェラーリでは難しい。

328 GTBの、8000rpmから始まるレッドラインまで自然吸気V8エンジンを回した時に包まれる、最高のサウンドと無二の充足感は、深く記憶に刻まれるものではある。これでこそフェラーリだ。

レッドのフェラーリ328 GTBと、ブルーのアルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ
レッドのフェラーリ328 GTBと、ブルーのアルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ

しかし、ステアリングホイールのシフトパドルを弾くことと、オープンゲートのシフトノブを正確にスライドさせることとの間には、求められる注意力に大きな違いがある。それだけに、特別感も大きのだが。

1989年のフェラーリ328 GTBと、2021年のアルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ。この2台ほど、過去40年の自動車の歩みを実感するのに適したモデルはないかもしれない。

2台ともに、その時代の高性能なドライバーズカーだ。それぞれが、標準以上にドライバーを惹き込める訴求力が求められる。その手法が明確に異なる点が興味深い。

アルファ・ロメオは、運転免許の存亡が怪しくなる速度域に迫らなければ、一体感は得られにくい。一方のフェラーリは、スリルが常にそばにある。速度域に関わらず。

それでもアルファ・ロメオ・ジュリアは、ほぼすべての要素で別次元のクルマへと進化している。客観的に見れば、称賛すべき成果だと思う。

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