【なぜ?】日産/三菱「軽EV」にこだわるワケ アイミーブの雪辱果たすための課題とは

公開 : 2021.09.06 05:45  更新 : 2021.10.09 23:38

日産と三菱が2022年の軽EVの販売を発表。国内メーカーのこだわる軽EVの重要度と課題に迫ります。

EV普及のカギ握る「軽自動車」

執筆:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
編集:Taro Ueno(上野太朗)

日産三菱が共同プロジェクトのNMKVにて、軽自動車クラスのEVを開発しており、2022年度初頭に国内発売すると発表した。

また、ホンダからも軽自動車クラスのEVが2024年に発売するとのアナウンスもある。

IMk(アイエムケー)コンセプト
IMk(アイエムケー)コンセプト    NMKV

そして、これら軽自動車クラスのEVは、日本の今後のEV普及の非常に重要な試金石となるだろう。

いってしまえば、これら軽自動車クラスのEVがビジネス的に成功すれば、日本のEVシフトは劇的にスピードアップするし、逆に失敗すればEV普及はまだまだ先になることだろう。

世界的にEVシフトが注目される中、日本の未来が、これら軽自動車EVの成否に大きく左右されるのだ。

では、なぜ、軽自動車クラスのEVが、それほどに重要なのだろうか。

まず、普及という点では、数が出ているジャンルであることが重要だ。

1000万円以上もするEVが1万台以上も売れれば、大きな話題とはなるが、普及という意味では、小さな数字だ。

つまり、普及するには安価で数の多いクルマがEV化することが重要だ。

そういう意味で、軽自動車は日本において、非常にボリュームの大きいジャンルとなる。

現在の日本で販売される新車のうち、4割弱が軽自動車なのだからだ。

2020年はコロナ禍で販売台数は減っているが、年間の新車販売台数は約460万台。そのうち軽自動車は約172万台で、新車販売のうち約37%を占めている。

軽自動車でEVが売れるようになれば、日本のEV普及は、まさにあっという間だ。

軽自動車×EV 相性が良いワケ

次にポイントとなるのが、軽自動車はEVに向いているということだ。

軽自動車の使い方は、「近距離中心」で、ユーザーは「地方在住が多い」という特徴がある。

IMk(アイエムケー)コンセプト
IMk(アイエムケー)コンセプト    NMKV

一方、EVは、どうかというと、やはり「近距離中心」の使い方がベストであるし、自宅の駐車場で充電することを考えると、「駐車場付きの戸建て」のユーザーであることが望ましい。

現実をいえば、集合住宅に住んでいたり、月極駐車場にクルマを停めていると、駐車時のEVの普通充電ができない。

つまり、使うたびに急速充電をするのでは使い勝手が悪すぎるのだ。

そのため、「駐車場付きの戸建てに住んでおり、近距離中心の使い方」をする人が、EVのオーナーにはベストとなる。

ちなみに、EVは自宅で充電するため、ガソリンスタンドに行く必要はない。ガソリンスタンドが減っているエリアでも困らない。

また、日本は全国津々浦々まで電気が通じている。200Vの充電設備を自宅に設置する費用は掛かるが、それは10万円もかからない。

「へき地なので、EVを充電するところがない」というのは勘違いだ。

ちなみに、軽トラックも「近距離走行」、「自宅に駐車」、「エアコンを使わない」という意味では、非常にEVに向いている。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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