【なぜ?】日産/三菱「軽EV」にこだわるワケ アイミーブの雪辱果たすための課題とは

公開 : 2021.09.06 05:45  更新 : 2021.10.09 23:38

最大のハードル「ユーザーの目」

軽自動車のEVは、使い方も見合っているし、なんといっても「EVシフト」という話題の先端の製品だ。しかも、環境にも優しい製品でもある。

さらに、かつて日本では、「スマートフォンは売れない。やはり便利なのはガラケー」といわれていたのが、あっという間に日本のユーザーはガラケーを見限った。

三菱アイミーブ
三菱アイミーブ

日本のユーザーは意外にも、新しい製品を取り入れることに躊躇しないという側面もある。

しかし、そんな軽自動車のEVであっても、実際にヒットできるかどうか先行き不明だ。

重要なのは、軽自動車は実用品であるため、コストと利便性に対してのハードルが非常に高いということだ。

端的に言って、ガソリンエンジン車よりも劣っていれば買ってくれる人は、よほど「環境意識の高い人」に限られるだろう。

2009年に発売された三菱の「アイミーブ」が、実例となる。

国内初の本格EVとして発売された「アイミーブ」だが、航続距離約160km、価格438万円(税別)で発売された。軽自動車としては、ありえないほど高額だ。

最終的には268万円(税別)までコストダウンしたが、やはり割高感はぬぐえずに、2021年3月に生産終了となった。

当たり前だが、高いと買ってくれないのだ。

日産と三菱の発表では、2022年に発売になる軽自動車クラスのEVは、電池搭載量が20kWhで価格は約200万円からだという。

従来のEVと比べれば、相当に頑張った数字ではあるが、正直、現在のガソリンエンジン車と比べれば、まだまだ高いし、航続距離も短い。

そういう意味で、コストと利便性で売ろうとするには無理がある。

それ以外のなにか買うべき理由を提示する必要があるだろう。

それは「環境意識」かもしれないし、「コネクテッド」、あるいは「デザイン」かもしれない。

どちらにせよ、何か「これは」というキラーコンテンツのような強力な理由が必要だ。

日産と三菱は、すでに日本市場で10年以上にわたってEVを販売してきた実績がある。

きっと、なにかあっと驚かす必殺技を携えて新型EVをリリースすることだろう。2022年の新型EVに期待しよう。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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