【NA V10有終の美】ランボルギーニ・ウラカンSTOへ公道試乗 50kg以上ダイエット 後編

公開 : 2021.09.12 08:25

サーキット性能に磨きをかけた、最もエクストリームなランボルギーニ・ウラカンへ公道試乗。見事なグランドフィナーレだと、英国編集部は評価します。

最高出力はエボと同じ640ps/8000rpm

執筆:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ランボルギーニウラカンSTOのスターターボタンを覆う赤いカバーを持ち上げ、指先で押すと、ミドシップされた5.2L NA V型10気筒エンジンが目覚める。STOの主役といえる要素だろう。

自然吸気の内燃エンジンとして、ランボルギーニ最後になるであろうV10は、ウラカン・エボと基本的には変わりない。だが、STO専用のエグゾースト・システムが採用され、排気音は一層威勢が良い。

ランボルギーニ・ウラカンSTO(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカンSTO(英国仕様)

多用されたカーボンファイバーと後輪駆動化で車重は軽く、ウラカン・エボより動的性能は高い。とはいえ、マクラーレン765 LTやフェラーリ488ピスタの過激なターボユニットと比べると、低回転域では少し活気が足りなくも感じる。比較すればの話だが。

ランボルギーニの技術者は、ECUのマッピングを改め、低回転域での鋭さを向上させたとしている。だが、ウラカン・エボと最高出力は変わっていない。640ps/8000rpmが、この5.2L NA V10の現実的な限界なのかもしれない。

そんなことを考えながら、運転席へ座る。デジタル表示のタコメーターの針が、鋭く回転する。STOのポテンシャルを、フルに発揮させてみよう。

回転数が4500rpmを過ぎた辺りから、ウラカンSTOは暴力的に加速度を高める。8500rpmに設定されたレッドラインまで、咆哮と共鳴が高鳴り、アクセルオフで燃え残りのガソリンがパチパチと鳴く。聴覚的にはオーバーロード状態だ。

チャレンジングな路面を舐めるように走る

7速デュアルクラッチATの、ショートでクロースしたレシオが上がる度に、怒涛の音響に包まれる。郊外なら制限速度97km/hに指定される英国の道路環境でも、4速までパフォーマンスを存分に引き出せる。

多くのライバルの場合はロング・レシオで、2速で引っ張れば非合法な速度に達してしまう。数秒で。大きな違いだといえる。

ランボルギーニ・ウラカンSTO(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカンSTO(英国仕様)

自然吸気のV10エンジンも至宝といえる存在だが、さらに驚かされるのが、英国の傷んだ路面をシャシーが巧みに受け止めてくれること。といっても、乗り心地は確かに硬い。ウラカン・ペルフォルマンテのように。

しかし、STOが備えるアダプティブダンパーが、路面のエッジを上手に丸めてくれる。ハイスピードでの姿勢制御は望外に良い。ほぼ完璧な安定性を保ち、チャレンジングな地形を舐めるように走り抜ける。

粗野な振動が届くのは、本当に不規則に凹凸が目立つ区間のみ。カーブが続く郊外の道とも、驚くほど相性が良い。

低速域ではやや荒削りでナーバスな印象もある。後輪操舵も備わり、コーナリングはやや積極的すぎる。だがドライバーが冷静に入力を加えれば、連続するコーナーで俊敏に反応するフロントノーズを楽しめる。輝きを感じるほど。

車重は軽く、慣性は極めて小さい。操縦に対する精度にも唸らされる。コーナーへの侵入では、アンダーステアはほぼ生じない。エイペックス付近へのバランスは白眉。自信を持ってシャシーへの負荷を高められる。

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