V10搭載ウラカンも最終章 ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ 最高到達点といっていい完成度

公開 : 2024.03.14 17:45

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカへ試乗します。ベースはウラカンSTOとしながら、その仕立ての違いで他モデルと比較すると、そこにはエレガントささえ感じる熟成がV10自然吸気エンジンを含めて内包されています。

異色の存在「ウラカン・テクニカ」

ウラカン・テクニカは、ウラカン・シリーズのなかにあって異色の存在だ。

もともと4WDのクーペから始まったウラカン前期モデルは、その後、コンバーチブルのスパイダー、後輪駆動のRWD、ハイパフォーマンスバージョンのペルフォルマンテなどを追加。RWDとペルフォルマンテについてはスパイダー版も投入することでシリーズを構成していった。

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ
ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ

ウラカンのマイナーチェンジモデルであるエボがデビューしたのは2019年で、こちらもスパイダーやRWDを揃えてシリーズを拡大していった。そしてペルフォルマンテに相当するモデルとしてSTOを投入。こちらは後輪駆動のクーペのみとされたが、クーペ4WDを軸としながら、スパイダー/RWD/ハイパフォーマンス版を追加する基本構成は前期型と同様だった。

では、ウラカン・テクニカとはいかなるモデルなのか?

端的にいえば、そのベースはSTOといって間違いない。なぜなら、超高回転型自然吸気式V10エンジンの最高出力が640ps/最大トルクが65.26kg-mというスペックのみならず、後輪駆動のクーペとなる点、4WSやトルクベクタリングなどを備えている点などはいずれもSTOと共通だからだ。

いっぽう、STOと決定的に異なっているのがそのデザインで、モータースポーツのイメージをダイレクトに受け継ぐSTOに対して、テクニカのほうはスーパースポーツカーとしてはエレガントなスタイリングに仕上げられている。

しかも、ボンネットやサイドウィンドウ周りを専用デザインにして伸びやかさを表現。そのうえで、控えめなリアウィングを装着してリアダウンフォースを35%増加(対エボRWD比)させるなど、パフォーマンス向上のための手当も実施したのである。

人間の自然な感覚にマッチする

ウラカン・テクニカのステアリングを握って路上を走り始めれば、STOとの違いはさらに明確になる。

どちらもブリヂストンのポテンザ・スポーツ(サイズもフロント245/30R20、リア305/30R20で共通)を履いているにもかかわらず、路面から伝わるゴツゴツ感はテクニカのほうがはるかに軽く、波打つような路面でも上下に激しく揺さぶられることはない。その快適さは、ウラカン・シリーズ随一といってもいいくらいだ。

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ
ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ

それでいながら、ワインディングロードでの走りは痛快そのもの。それも、いたずらにステアリングレスポンスを鋭くするのではなく、あくまでも人間の自然な感覚にマッチする反応を示すように躾けられている点が素晴らしい。

おまけにステアリングやシートからは4輪が接地している状態が克明に伝わってくるので、このうえない安心感が得られる。きっと、多くの人々が「ウラカンって、こんなに扱いやすく、そして完成度の高いスーパースポーツカーだったんだ」と認識を新たにすることだろう。

いっぽうで、サーキットに持ち込んでドライビングモード切り替えの「アニマ」でスポルトを選べば、容易にテールを振り出しながらも優れたトラクション性能とコントロール性を発揮する点はSTOとまったく同じ。それを後輪駆動で実現している点にも、STO同様、心底驚かされる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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