【トヨタの考えは?】脱炭素時代 1.5兆円が動く、電池の開発・安定供給への道筋

公開 : 2021.09.08 19:45

狙いは何だったのでしょう? トヨタが突然開催した、脱炭素への取組みの説明会。歴代ハイブリッド車の成果、全固体電池のEVについて語られました。

ハイブリッドなのか、BEVなのか

執筆:Hajime Aida(会田肇)
編集:Tetsu Tokunaga(徳永徹)

トヨタ自動車は9月7日、メディアを対象とした「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」を、オンラインにて開催した。

プレゼンテーションを行ったのは、電池開発のキーパーソン前田昌彦CTO。質疑応答も含め、約1時間半にわたって実施された説明会の詳細をレポートする。

ハイブリッド車の代名詞と言えばプリウス。右上は、ブラジルトヨタが2018年に発表した、ガソリンに加え、エタノールなどを燃料にして走行できるフレックス燃料車(ハイブリッドFFV)。
ハイブリッド車の代名詞と言えばプリウス。右上は、ブラジルトヨタが2018年に発表した、ガソリンに加え、エタノールなどを燃料にして走行できるフレックス燃料車(ハイブリッドFFV)。    トヨタ

EUは2035年以降、バッテリー電気自動車や燃料電池車などゼロエミッション車(ZEV)のみとする規制案を発表した。

ここにはハイブリッド車(HEV)は含まれず、この案が実行されればトヨタなど日本メーカーが得意とするHEVは販売できないことになる。

一方、アメリカではトヨタの電気自動車(BEV)の普及に向けた後ろ向きな活動が批判されるなど、世界が脱炭素へ進んでいる中で疑念の声が上がっていた。

今回の説明会は、そうした状況に対するトヨタとしての1つの回答を世に知らしめる狙いがあったと思われる。

そうした中で、トヨタはすでに2030年にHEVを含めた電動車をグローバルで800万台販売し、このうちBEVと燃料電池車(FCEV)を200万台とする計画を発表済みだ。

この200万台が多いか少ないかという話もあるが、今回の説明会では、あくまでカーボンニュートラルへの貢献度を第一に考え、トヨタがこれまで手掛けてきた“HEVが果たしたCO2削減効果”を含んだ上で、全体を論じるという展開となった。

電池開発 5つのコンセプトとは

今回の説明によれば、1997年のプリウス発売以来、グローバルで販売したHEVの累計台数は約1810万台で、電池の量としてはBEVの26万台分となる。

より少ない電池の量で、BEVに換算すれば約550万台分に匹敵するCO2削減効果を上げているという(図1参照)。

図1:「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」で使われたプレゼンテーション資料。HEVの普及によって、少ない電池量でCO2排出量を削減してきたと主張。
図1:「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」で使われたプレゼンテーション資料。HEVの普及によって、少ない電池量でCO2排出量を削減してきたと主張。    トヨタ

また、前田CTOは、「HEVは比較的安価で提供できるため、再生可能エネルギーがこれから普及する地域ではHEVによる電動化が効果的」と語り、その一方で「再生可能エネルギーが豊富な地域ではBEVやFCEVなどのZEVの普及がより効果的」とした。

さらに「南米エリアではバイオエタノールをCO2削減への対応として実用化されている」とし、HEVやBEVなど電池をフル・ラインナップで対応することで、いかに炭素を排出しないようにできるかを地域ごとに対応していく考えを示した。

こうした中で、前田CTOが繰り返し説明したのが、“安心して使っていただける電池”を供給することだ。

トヨタが掲げる電池の開発コンセプトは大きく「安全」「長寿命」「高品質」「良品廉価」「高性能」の5つの要素がある。

しかし、「安全」と「高性能」には相反する側面があり、それは車両と電池を一体化させて開発することや、何万通りにも及ぶ加速劣化試験を行ったりして耐久性・安全性を確保してきたとする。そして、5つの要素がもっとも高次元でバランシングする電池開発を進めてきたのだ。

前田CTOによれば「この考え方は初代プリウスに電池を搭載した時から変わらず、電動車両すべての電池に共通する」と言い、その甲斐あってこれまで一度もバッテリーに起因する「フェイタル(致命的)な」トラブルは発生していないという。

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