キアEV6へ試乗 航続482km 実力派の新モデル登場 今後の展開に高い期待 後編

公開 : 2021.11.05 08:26

上級の電動クロスオーバーとして有力候補になり得る実力を備えると、英国編集部は評価します。

多くのライバルに並んだインテリア

執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
キアEV6のフロントシートの間には、トランスミッション・トンネルが付いているクルマのように、センターコンソールが高い位置に伸びている。それでも、運転席まわりの空間には余裕がある。

光沢の強いピアノブラック仕上げのプラスティック製パネルが多用され、プレミアムな質感は今ひとつ。指紋や傷も付きやすいだろう。細かい部分だが、上級を目指す純EVとして気になることは確かだ。

キアEV6 GTラインS AWD(英国仕様)
キアEV6 GTラインS AWD(英国仕様)

キアというブランドは、これまでセグメント内のポジショニングが決して上の方ではなかった。だが2019年に発表されたコンセプトカーのような、巨大なインフォテインメント用モニターをEV6は採用し、多くのライバルに並んだ印象だ。

システムはユーザーフレンドリーで、ドライバーが見やすいようにモニターには角度が付けられている。機能面なども、適度に近未来的だと感じた。

スマートフォンとのワイレス連携機能は備わらない。この価格帯のモデルとしてはマイナスに受け取られそうだが、少なくともワイヤレスでの充電は可能。

仮想現実で投影されるヘッドアップ・ディスプレイと、カスタマイズ可能なメーター用モニターが付いているから、実際はそこまで連携機能の必要性は感じないかもしれない。エアコン用に、独立した操作パネルが付いている点も良い。

ステアリングホイールには複数のスイッチが備わり、主要な機能は手元で操作が可能。長時間、快適に過ごせるクルマだと思う。

郊外の道で本来の能力が発揮される

駆動用モーターの回転音は、加速中に車内へ響いてくる。一旦速度が乗ってしまえば、風切り音とタイヤのロードノイズが交代して聞こえてくるが、試乗車の履いていた20インチという大きなホイールを考えれば、悪くないレベル。試乗した日は風も強かった。

高速道路の速度域でも落ち着きは失わず、動力性能は余裕たっぷり。速度の遅いトラックなどの追い越しも、キビキビとこなせる。ボディはさほど大きく感じられない。車重は2090kgあるが、ポールスター2よりは軽い。

大きな凹凸や舗装の剥がれた穴などを通過すると、シートベースやステアリングホイールには見てもわかるような振動が伝わってくる。扁平率の低いタイヤは、英国の管理の悪い舗装をごまかしてくれることはないようだ。

郊外の開けた道に出ると、EV6の本来の能力が発揮されてくる。トップグレードのEV6 GTから250馬力ほどパワーは劣るものの、ツインモニターが生むスピードは、純EVに乗り慣れていても中毒性を感じるほど速い。特に電費効率の落ちるスポーツ・モードでは。

静止状態からの急加速でもうろたえることなく、鋭くリニアに加速していく。感覚的に危ないと思うか、法的に許されない速度域まで。

このボディサイズを持つクロスオーバーとしては、安定性してもいる。カーブが続く区間でも、挙動は予想可能で正確な操縦性は保たれる。アウディのように、ステアリングホイールには感触が殆ど伝わってこないが、レスポンスは良好と呼べる以上だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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