ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップへ試乗 孤高のワンメイクレーサー 後編

公開 : 2021.12.23 08:26

ケータハムのワンメイクレース用に作られた、最も純粋で過激なセブン。英国編集部がサーキットで試乗しました。

タイヤが温まると全貌が見え始める

ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップのスリックタイヤを温めるべく、数周走り込むと、純粋なレーシングカーであることが見えてくる。公道用モデルをチューニングしたセブンではない。徐々に、セブンの攻撃態勢が整っていく。

クルマを理解するほど、よりタイトに420R チャンピオンシップを運転できるようになる。このセブン自らも、求めていることのようだ。

ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップ(英国仕様)
ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップ(英国仕様)

過去にないほど激しく、ブレーキペダルを蹴飛ばす。ギリギリのポイントで。6速シーケンシャルMTで次々にギアをつなぎ、エンジンの回転に合わせて走行速度がダイレクトに高まる。

コーナーでは、アクセルオンのポイントを徐々に早めていける。周回を重ねるほど、タイヤの温度が上昇。1m、2m、3mと、4周前なら姿勢を乱していたであろうポイントに迫れる。

ハードコアなケータハム・セブンの全貌が見え始める。エンジンの熱を感じる。ノイズもうるさい。すべてが温まりきっていないようだが、圧倒するほどにエネルギッシュだ。

短いシフトレバーを手前側に引くだけで、シフトアップできる。低めに設定されたエンジンのレッドラインへ都度当たる。シンクロメッシュがないことで、メカの動作は一層滑らかだ。

前方を見ていても視界へ入るところに、変速タイミングを教えてくれるシフトライトが付いている。運転へ没入してしまう。バランスに優れ、正確に狙った通りのスピードを絞り出せる。

公道用セブンと異なるアグレッシブなマナー

アシストの付かないステアリングも、ペダルも、積極的な入力を受け付ける。ステアリングラックは、どんなケータハムよりクイックだという。

エイボン社製のスリックタイヤにも感服する。熱の入り具合が充分でなくても、公道用モデルでは考えられないようなグリップ力を生み出す。狙い通りの温度に上昇すれば、軽いシャシーと相まって、顔を剥がしそうな横Gにも耐えるのだろう。

ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップ(英国仕様)
ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップ(英国仕様)

もう少しダウンフォースがあっても良いかもしれない。だが、想像以上にグリップの抜けは漸進的だ。

420R チャンピオンシップのドライビング体験を掘り下げるなら、路面に限りなく近いシャシーを手懐けることが求められる。古いシングルシーター・レーサーのように、幅200のリアタイヤをある程度滑らせた方がタイムは縮まる。

カウンターステアに頼らず、パワーを掛けてコーナーの出口を目指す。この方が速いだけでなく、最高に楽しい。

公道用セブンとの1番大きな違いは、そのアグレッシブなマナー。だが、不用意に挙動が乱れることはない。ノイズが大きくグリップも甚大。ドライバーを喜ばせてくれる、表現力にも溢れている。

実際、筆者は比較的短時間のうちに自信を持って振り回すことができるようになった。優れたバランスを活かし、望み通りのドリフトも引き出せた。

試乗車には備わっていなかったが、リアにアンチロールバーを追加すれば、より手懐けやすくなるだろう。あるいは、スプリングマウントでクルマの角度を調整しても良い。同時にすると、尖った操縦特性にもなり得るが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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