NA 3.2L V6に四輪駆動 フォルクスワーゲン・ゴルフ R32 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.03.04 08:25

小さなボンネットにNA V6を押し込んだゴルフ R32。5代目ゴルフのイメージリーダーを、英国編集部がご紹介します。

5代目ゴルフに3.2L V6と四輪駆動を搭載

フォルクスワーゲン・ゴルフといえば、評価の高いドイツの定番ハッチバック。しかしR32は、型破りな内容を備えていた。優れたシャシーに四輪駆動を組み合わせ、GTI以上のパフォーマンスを備える、ゴルフRの元祖といえるクルマだ。

ゴルフ R32で最大のトピックが、3.2Lという大排気量の自然吸気V型6気筒エンジンを搭載したこと。実用性の高さと、圧倒的な動力性能との、絶妙なバランスに仕上げてあった。一部では、今でもカルト的な支持を集めている。

フォルクスワーゲン・ゴルフ R32(5代目/2005〜2008年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ R32(5代目/2005〜2008年/英国仕様)

R32が初登場したのは、4代目ゴルフ。5代目ゴルフのR32は、大人しすぎると評価されたGTIを超える存在として、2005年に発売された。GTIより4000ポンド高い価格を正当化できる内容か、疑問の声もあがったことは事実ではあるが。

注目のV6エンジンは、最高出力250ps、最大トルク32.5kg-mを発生。当時のゴルフGTIが発揮した、200psと28.4kg-mを大幅に上回るものだった。ちなみに馬力では、最新のGTIをも凌ぐ。

加えて、フォルクスワーゲンが4モーションと呼ぶ、ハルデックス四輪駆動システムを搭載。トランスミッションは、6速マニュアルか7速デュアルクラッチ・オートマティック(DSG)が選択できた。

この時代は、まだドライバーが操るMTの方が速かった。0-100km/h加速は6速MTで6.2秒、7速DSGでは6.5秒がうたわれた。

実用性は損なわずに新次元の動的能力

もちろんゴルフだから、直線番長ではない。しっかりと、コーナリング性能も磨き込まれている。

4代目R32と比較し、剛性を高めたダンパーとスプリングをサスペンションに採用。アンチロールバーも太さを増し、強力なグリップと優れた姿勢制御を叶えていた。車高も、標準の5代目ゴルフから20mm落とされていた。

フォルクスワーゲン・ゴルフ R32(5代目/2005〜2008年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ R32(5代目/2005〜2008年/英国仕様)

乗り心地は、硬めながら不快ではない程度。センター2本出しのマフラーからは、心地よく荒々しいエグゾーストノートを響かせた。日常的な利用に問題はなく、その質感や音響には、GTIとは異なる特別感が漂っていた。

見た目では、クロームメッキの大きな専用グリルが与えられ、ブレーキキャリパーがブルーに塗られ、通常のゴルフと明確に差別化。さらにキセノン・ヘッドライトと、18インチのアルミホイールも装備していた。

一方の車内は、ゴルフらしく広々として居心地が良い。ドライビングポジションは良好。専用の3スポーク・ステアリングホイールに、アルミ製のペダルと内装トリムで雰囲気を高めていた。

欧州仕様の場合、エアコンとオートワイパーは標準装備だったが、パーキングセンサーやナビなどはオプション。サイドサポートの高いハードシェルのレカロシートも、追加費用で装備できた。

5代目ゴルフ R32は、実用的なハッチバックの能力を損なわず、新領域といえるパフォーマンスの獲得に成功していた。フォルクスワーゲンのRモデルへ展開するスタイリング要素を生み出すことにもなった、記念すべきゴルフだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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