もう少し快適なら尚良 シトロエンC4 ピュアテック155へ試乗 クロスオーバーの3代目

公開 : 2022.05.27 08:25

3代目へ一新したシトロエンC4。エンジンや車内空間などは良好ながら、快適性が惜しいと英国編集部は評価します。

155psの1.2L 3気筒ターボガソリン

3代目シトロエンC4が登場したのは、2020年。それ以前は一般的なハッチバックだったが、最新版ではクロスオーバー風の見た目へ一新されている。

AUTOCARでは既に昨年、新しいC4へ試乗している。その時は、ピュアテック130のシャイン・プラスと呼ばれる上級グレードだった。130psを発揮する1.2L 3気筒ターボガソリン・エンジンに、8速オートマティックが組み合わされていた。

シトロエンC4 ピュアテック155 シャイン・プラス(欧州仕様)
シトロエンC4 ピュアテック155 シャイン・プラス(欧州仕様)

今回試乗したのは、同じシャイン・プラスというグレードながら、ピュアテック155。同じエンジンを搭載するが、最高出力は155psと、よりパワフルに味付けしてある。

ピュアテック130と155の違いとしては、0-100km/h加速が9.4秒から8.5秒へ短くなることが1番かもしれない。一方で燃費は若干悪くなり、15.6-17.3km/Lがうたわれる。

また、英国価格は130より約1000ポンド高くなる。残価設定の月払い額は増えるものの、3年後の残存価格は500ポンド(約8万円)高い。

もしシトロエンに積極的な走りを求めるなら、追加費用を支払う価値はあるだろう。しかし、古くから手頃な価格で快適性や洗練性を優先してきたフレンチ・ブランドであることを考えれば、穏やかな130でも充分に思える。

快適性は過去のシトロエンに迫れていない

以前に3代目シトロエンC4へ試乗した時は、独特の落ち着いた雰囲気と、良好な燃費効率、長距離移動を安楽にこなせる特徴などを評価している。だが、その能力を充分には発揮しきれていないことにも触れられている。

プロダクトとしての洗練性は高いものの、シトロエンらしい快適性や外界との隔離感はいまひとつ。運転の質感を高めるはずのドライブモードなどの技術は、動的なプラスにはなっていないとまとめられていた。

シトロエンC4 ピュアテック155 シャイン・プラス(欧州仕様)
シトロエンC4 ピュアテック155 シャイン・プラス(欧州仕様)

今回ピュアテック155へ試乗した印象も、概ね同じといえる。控えめのドライビングスタイルなら、多くのライバルモデルより快適に運転できることは間違いない。だが、過去の理想にまでは迫れていない。

ハイドロニューマチック・サスペンションを採用していた50年前のシトロエンが存在していなければ、納得できたかもしれない。だが現在のC4のプログレッシブ・ハイドロリック・クッションは、柔らかいものの、それに匹敵する滑らかな路面処理を得ていない。

従来のC4カクタスよりは良い。とはいえ、不自然にボディロールを抑え込むより、フォルクスワーゲン・ゴルフのように適度にコシのある乗り心地の方が、筆者好みでもある。

一方で、ある程度スピードが増すと、ステアリングフィールがドライバーに自信を抱かせる。イメージとは違うかもしれないが、悪くはない。雲に浮かんだような乗り味とは少々異なる。

8速ATは、いまひとつやる気に欠ける。変速はもう少しクイックで良いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事