世界最高峰の多様性 ランドローバー・レンジローバー D350 HSEへ試乗 最新5代目 前編

公開 : 2022.05.31 08:25

レンジローバーが新世代へモデルチェンジ。従来以上に能力の幅を広げたフラッグシップを、英国編集部が評価しました。

欧州で最も状態が悪い英国の道で開発

重要なモデルのオーダーが、いよいよ始まった。日本でも。正式発表からの数か月、筆者の期待は高まる一方だった。北米でのプレス向け試乗会も、その気持に拍車をかけた。そして遂に、慣れ親しんだ道で直接確かめる時がやってきた。

英国の一般道は、一般的に欧州で最も状態が良くないとされる。舗装は古く、一部が剥がれていて、ツギハギも多い。そして舗装路から一歩外れれば、広大なオフロードが広がっている。

ランドローバー・レンジローバー D350 HSE SWB(英国仕様)
ランドローバーレンジローバー D350 HSE SWB(英国仕様)

こんな環境で、1970年からの過去4世代に渡るランドローバー・レンジローバーは開発されてきた。もちろん、5代目となる最新型も同じ。それが、優れた評価を支えてきた。

今回試乗した新型レンジローバーは標準ホイールベースのD350 HSEで、この土地に最適な仕様といえる。ガソリンエンジンからロングホイールベースまで、先日複数台試乗したなかで最も能力のバランスに優れ、実用的だろうと推測されたグレードだ。

今日はこのクルマで、グレートブリテン島南部の一般道を約240km走る。さらに、1時間半の予定で本格的なオフロードにも挑む。タイヤは高速道路と同じ、一般的なサマータイヤのままで。

従来から、普段履いているタイヤで様々な条件を走破できる能力こそ、レンジローバーの多様性を示す方法になっていた。今回も、その実力を確かめられると考えている。

アルミ製のMLA構造に多様なエンジン展開

5代目レンジローバーは、L460型と呼ばれている。従来から最大50%剛性が高められたという、MLAフレックス・アーキテクチャをベースとし、殆どはアルミニウムで構成されている。

エンジンルームとキャビンを仕切るフロントのバルクヘッドや、ボディのピラー部分などを中心にスチールも用いられ、強度が補われている。適材適所という考え方だ。

ランドローバー・レンジローバー SWB(欧州仕様)
ランドローバー・レンジローバー SWB(欧州仕様)

標準ホイールベースの場合、全長は5052mm、全幅が1990mm、全高は1870mm。長さは4代目から75mm伸びたが、ベントレーベンテイガより約90mm短い。ドアミラーを含めると幅は2209mmあり、相当ワイドだ。

ガソリンとディーゼルから選べるエンジンは、出力設定のバリエーションが幅広い。すべて3.0L直列6気筒のインジニウム・ユニットで、ターボチャージャーが付く。一部には、マイルド・ハイブリッドも用意される。

同じ6気筒ガソリンターボと駆動用モーターを組み合わせた、プラグイン・ハイブリッドもある。圧倒的に強力なレンジローバーがお望みなら、BMWから調達される4.4L V8ツインターボも選択可能だ。

トランスミッションは共通してZF社製の8速オートマティック。最新版のスタビリティ・トラクション・コントロールシステム、テレインレスポンス2も搭載する。

サスペンションは、4モードに可変し車高を135mm変化できる、エアスプリングが標準。高速走行時は車高を下げて空気抵抗を抑え、オフロードでは最低地上高を持ち上げ、走破性を高める。

アルミホイールは23インチをオプションで選択可能だが、22インチが標準。試乗車も22インチだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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