新世代スーパーカーの世界へ誘う マクラーレン・アルトゥーラへ試乗 身軽で純粋なPHEV 後編

公開 : 2022.06.30 19:27

遂に試乗機会を得た、PHEVのマクラーレン。680psを発揮する新世代スーパーカーを、英国編集部が評価しました。

トルクで満たされたアクセルレスポンス

すっかり技術的な確認が長くなったが、そろそろ試乗の印象へ移ろう。マクラーレンアルトゥーラは、コンフォート・モードを選べば極めて洗練された走りを堪能できる。最長31km走れるエレクトリック・モードなら、一層の静けさに浸ってもいられる。

内燃エンジンが止まっている状態では、動力性能は限定的になるため、走りは穏やかといっていい。それでも、早朝の出発や風光明媚な観光地を緩く流したい時など、有効なことは間違いない。大都市のゼロ・エミッション・ゾーンでも役に立つ。

マクラーレン・アルトゥーラ(欧州仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ(欧州仕様)

パワートレインをスポーツ・モードに切り替えると、即座にアルトゥーラの放つサウンドが大きくなる。V6エンジンに火が入り、駆動用バッテリーの充電量を常に中程度に保つようになる。

7.4kWhの駆動用バッテリーは、駆動用モーターを介してエンジンの余力で充電される。一方で回生ブレーキは備わらず、運動エネルギーが電気エネルギーへは変換されない。そのかわり、ブレーキペダルの感触が曖昧になることを避けている。

駆動用モーターと3.0L V6ツインターボ・エンジンは一体となって動作し、従来のマクラーレンに遜色ない、トルクで満たされたアクセルレスポンスを叶えている。自然吸気エンジンのように漸進的で、それよりも鋭い印象だった。

加速力が目覚ましいのはいうまでもない。

システム総合で680psあるパワートレインが、約1.5tの車体を動かすのだから。さらにエンジンは、必要なら8000rpmを超えて吹け上がる。

正確で感触豊かな操舵感 安定の姿勢制御

聴覚的にもドライバーを満たしてくれる。従来のマクラーレンのV8エンジンは少し淡白な印象が拭えなかったが、微粒子フィルター付きのターボエンジンとしては、期待にそぐわない美声を響かせる。

一般道での乗り心地は、570Sより若干硬さを感じるものの、流暢に処理する印象は維持された。コンフォート・モードを選んでいれば、殆どの舗装状態を巧みにいなしてくれる。ソワソワ落ち着かなくなるような場面は、滅多にない。

マクラーレン・アルトゥーラ(欧州仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ(欧州仕様)

動的能力の美点として特に強調したいのが、正確で感触の豊かなステアリングと、超フラットで安定した姿勢制御の2つ。

さらに、比較的タイトな車体サイズとグリップ力が相乗し、狭いワインディングでもスピードを維持しやすいことも加えたい。

アルトゥーラのスポーツ・モードでのドライビング体験は、完成され洗練されたスーパーカーの定石通り。PHEV化によって、何か新しい印象が加わったり、革命的な変化はもたらされていない。

重さを感じたり、不一致感があったり、運転の手間が増えたり、ということは微塵もない。むしろ、ハイブリッドだと忘れる時間もあったほど。足取りが軽く、反応は機敏で極めてダイレクト。直感的にラインを縫うことができる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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