エリーゼの派生モデル ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター) 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.07.13 08:25

エリーゼの派生モデルといえる、VX220(スピードスター)。日本へも少数が導入されたオープン2シーターを、英国編集部が振り返ります。

ロータスオペルのパートナーシップ

2000年代には、ネオ・クラシックとして評価を高めるような名車が何台も生まれている。その1台といえるのが、2001年に発売されたヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター)だ。

2シーターのロードスターといえば、クルマ好きの大好物といえるカテゴリーだと思う。しかし、世界最高峰のスポーツカーを生み出す名門ブランドとコラボレーションしながらも、新車時は充分な評価を集められず、そっと幕を閉じている。

ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)
ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)

2000年代、ゼネラル・モーターズ(GM)の傘下にあったロータスとオペルは、パートナーシップを組める関係にあった。その副産物としてデザインされたスピードスターは、ロータス・エリーゼと極めて近い関係にある。

強固なアルミニウム製タブシャシーのほか、多くの部品をエリーゼS2と共有。組立自体も、ロータスのヘセル工場で行われた。グラスファイバー製のボディや、サスペンションのチューニングにも、ロータスの技術力が落とし込まれていた。

エリーゼとスピードスターとの間には、一定の距離も必要だった。そのため、ホイールベースはより長く、リアのトレッドはより広い。エアバッグとABSを標準装備とすることで、大手自動車メーカー、オペルのスポーツモデルという位置づけを明確にさせた。

しかしエアコンは装備されず、パワーウインドウも付いていない。アルミホイールは、エリーゼの16インチに対し、17インチへ大径化されていたけれど。

速く個性的で、爽快な走りを楽しめる

エンジンは、当時エリーゼが搭載していたローバー由来のKシリーズではなく、よりパワフルな自然吸気の2.2Lエコテック・ユニット。最高出力147psを発揮し、870kgのスピードスターへ、0-100km/h加速5.6秒という能力を与えた。

2003年には当時のオペル・アストラが搭載していた、2.0Lターボエンジンが追加。車重は930kgへ増えていたが、200psのお陰で0-100km/h加速を4.7秒へ短縮した。ターボ版では、ボディサイドのエアインテークが大型化され、スポイラーも装備されている。

ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)
ヴォグゾールVX220(オペル・スピードスター/英国仕様)

パフォーマンスを求めるなら、2.0Lターボエンジンが好適だろう。だが2.2Lの自然吸気も、同等に楽しいドライビング体験を堪能できる。ちなみに日本へは、2.0Lターボは正規導入されていない。

2004年に2.2L自然吸気は廃版に。さらに英国仕様として、ヴォグゾールVXR220が登場。2.0Lターボにチューニングを加え、最高出力は220psへ上昇し、軽量化も図られていた。製造数は60台の限定で、英国国内でも発見は難しい。

新車当時、英国ではヴォグゾールの大衆車ブランドというイメージが足を引っ張り、ドライバーの心を充分に掴むことはできなかった。だが、欧州本土では悪くない結果を残している。

20年という時を経て、オペル・スピードスターはネオ・クラシックとして再認識され始めている。不足なく速く個性的で、爽快な走りを楽しめる、貴重な2シーターモデルといえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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