フェラーリ・プロサングエ登場 フェラーリ初4ドア パワートレインやスペック GTC4ルッソとの違いを解説

公開 : 2022.09.14 05:25  更新 : 2022.09.14 08:41

フェラーリ・プロサングエが登場。フェラーリ初4ドアモデルのパワートレインやスペックを解説します。

フェラーリ初の4ドア4シーター登場

フェラーリ初の4ドア4シーター・モデルとして誕生したプロサングエ

当然のことながら、ボディ構造を始めとするほとんどすべてを、このモデルのためにゼロから開発することになったという。

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ    フェラーリ

ボディ構造の基本はアルミスペースフレームで、ここにアルミ、高張力鋼板、カーボンコンポジットなどを組み合わせた「マルチマテリアル方式」が採用された。

たとえば、ボディパネルの多くはシート状のアルミで、Bピラーなど衝突時の衝撃を受け止める部材には高張力鋼板を多用。

ルーフはカーボンコンポジット製とすることで軽量化と低重心化を実現したといった具合だ。

なお、ルーフはカーボンコンポジット製が標準で、グラスルーフがオプションで設定されている。

プロサングエのボディでもう1つ特徴的なのは、エンジンやギアボックスなどの重量物をすべてホイールベース内にレイアウトした点にある。

全長4973mmに対してホイールベースが3018mmと長いのは、この運動性能優先のレイアウトを実現するためだった。

なお、プロサングエはフロント・エンジンでギアボックスを後車軸上に搭載したトランスアクスル方式を採用。

そのうえで駆動方式は4WDとされている。

そのメカニズムは、後述するとおりGTC4ルッソの4WDシステムの発展版というべきものである。

GTC4ルッソとプロサングエの最大の違い

一般的にいって、トランスアクスル方式と4WDを両立するのは困難だ。

というのも、エンジンパワーを四輪に配分するには、まずギアボックスで変速する必要があるが、トランスアクスル方式の場合、エンジンパワーをプロペラシャフトでギアボックスに伝えたあと、その駆動力の一部をあらためてフロントに戻さなければならず、エンジンパワーをフロント→リア→フロントと一往復させる必要が出てくる。

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ    フェラーリ

これが機械損失的にも重量的にも大きなロスとなることはいうまでもない。

そこでフェラーリは、エンジンの直後にPTU(パワー・トランスファー・ユニット)を搭載。

ここで駆動力を前後の車軸に向けて分割し、その一部はプロペラシャフトを介してギアボックスへと伝えられて後輪を駆動する。

いっぽう、PTU内部には、2段の変速機構と左右の前輪に駆動力を分配するメカニズムが組み込まれている。

しかも、左右輪への駆動力分配は、電子制御式ディファレンシャル機構と似たメカニズムによりその比率を電子制御できるという。

ここに、GTC4ルッソとプロサングエの最大の違いがある。

左右輪の駆動力を個別に調整できるということは、ヨーモーメントを電子制御できるのと同義。

つまり、駆動力を用いたトルクベクタリングを実現できることになる。

なお、SF90ストラダーレも同様に前輪の駆動力制御によるトルクベクタリング機能を搭載しているが、こちらは左右の前輪をモーターで個別に駆動する方式。

ただし、SF90の開発で得たノウハウをプロサングエにも活用したとフェラーリは説明している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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