群を抜くコストパフォーマンス MG HS プラグイン・ハイブリッドへ試乗 総合258ps

公開 : 2022.10.02 08:25

販売好調なMGが提供する中型SUVのHSに、PHEVが登場。さらに人気を後押しする内容だと、英国編集部は評価します。

売上げの40%以上を稼ぐSUVのHS

英国の伝統あるブランド、MGモーターは最近調子が良い。2022年の第1四半期には、75%も販売台数を増やしたという。英国編集部としては何度も耳にしている情報だが、力強く成長していることは間違いない。

現在は中国企業、SAICモーター社の傘下にあるMGながら、この売れ行きを支えているのがファミリーSUVのHS。同社の売上げの40%以上を稼ぐ、大黒柱になっている。フォルクスワーゲンにとってのティグアン以上に、重要な位置づけにあるといっていい。

MG HS 1.5 T-GDi プラグイン・ハイブリッド・エクスクルーシブ(英国仕様)
MG HS 1.5 T-GDi プラグイン・ハイブリッド・エクスクルーシブ(英国仕様)

今回、MGモーターはHSにプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を設定したが、充分に納得できる展開だろう。人気を後押しすることにつながるはず。

HSのPHEVには、2種類のトリムグレードが用意されている。エントリーグレードとなるのがエキサイトで、3万1095ポンド(約513万円)から。今回試乗したのがトップグレードのエクスクルーシブで、3万3595ポンド(約554万円)からとなる。

MGモーターとしてはお高めの設定ながら、ライバルに当たるキア・スポーテージのPHEVは4万1795ポンド(約689万円)だから、遥かにお手頃。また、HSには7年間の新車保証が付いてくる。支持を伸ばしている理由でもある。

1.5L 4気筒ターボに電気モーターで258ps

エンジンは、PHEVではないHSも搭載する1.5Lの4気筒ターボガソリン。そこに122psとパワフルな駆動用モーターが組み合わされる。システム総合では258psと、96psものパワーアップを果たしている。

0-100km/h加速は6.9秒、最高速度は189km/hと、主なライバルに並ぶ。ただしカタログ上の燃費は55.2km/Lと伸び悩んでおり、英国の税制的には若干不利ではある。

MG HS 1.5 T-GDi プラグイン・ハイブリッド・エクスクルーシブ(英国仕様)
MG HS 1.5 T-GDi プラグイン・ハイブリッド・エクスクルーシブ(英国仕様)

基本的に発進は駆動用モーターだけでまかなわれ、とても静か。アクセルペダルへ力を込めると、比較的早い段階で内燃エンジンがこっそり始動する。

多くのPHEVは、駆動用バッテリーの残量が25%程度へ減るまで、駆動用モーターだけで走ろうと務める。一方でHSの場合は、エンジンも力を貸す割合が多い。これが燃費へも影響しているようだ。

ボタンを押せばEVモードも選択でき、最長48km走れるうえ、力不足に感じることはない。EVモードが発進時のデフォルト設定で良さそうだし、ハイブリッド・モード時の制御も見直す余地はあるように思う。

サスペンションは静かに屈伸し、車内は外界から程よく隔離されている。日常的な速度域なら、殆どの路面の凹凸をしなやかに吸収してくれる。

速度域が高まると、路面のうねりに対してサスペンションが突っ張る仕草が出てくる。落ち着きには欠ける印象だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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