アルピーヌが香る ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッドへ試乗 新型ミドルSUV

公開 : 2022.10.13 08:25

カジャーの後継車となる新型ファミリーSUV。軽快なシャシーや良質なパワートレインなど、訴求力は高いと英国編集部は評価します。

カジャーの後継車となる新ファミリーSUV

ボディサイドにシャープな「A」のロゴがあしらわれているが、アルピーヌのSUVではない。念のため。

今回ご紹介するルノー・オーストラルは、ミドルサイズのファミリーSUV、カジャーの後継車となる新モデル。僅かに、アルピーヌの息吹を感じることもできるけれど。

ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

基礎骨格としているのは、ルノーと日産の共同開発で誕生したCMF-CDと呼ばれる新しいプラットフォーム。CMFはコモン・モジュール・ファミリーの略で、様々なハイブリッド・パワートレインに対応している。

英国へは、2023年から導入予定にある。当初の選択肢は1.2L 3気筒エンジンに1.7kWhの駆動用バッテリーを組み合わせたハイブリッドが2種類と、1.3L 4気筒エンジンのマイルド・ハイブリッドが2種類になるという。

今回試乗したのは、システム総合での最高出力が198psとなる、1.2Lハイブリッド。オーストラルとしてはトップグレードに当たる。オプションとなる、四輪操舵システムの4コントロール・アドバンスドも装備されていた。

このオプションを選ぶと、リア・サスペンションがトーションビーム式からマルチリンク式へアップグレード。ステアリングラックもクイックなモノへ置き換えられ、最小回転直径は10.1mと小さなハッチバック並みに小回りが利くようになる。

軽快に自信を持って運転できるシャシー

ファミリーSUVとして、オーストラルの訴求力は高い。ステアリングホイールの重み付けは丁度良く、高めの速度域でもボディロールを抑えつつ、ラインを維持しながら駆け抜けていける。

カーブの出口で威勢のいい加速を求めると、穏やかなアンダーステアでドライバーをなだめる。高速域では、僅かなステアリングホイールの入力へ過剰気味に反応するものの、四輪操舵システムの動きは自然。挙動は予想しやすい。

ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

カーブの続く郊外の道でも、混雑した市街地の交差点でも、軽快に自信を持って運転できる。扱いやすいクロスオーバーだ。

ハイブリッドのパワートレインは、穏やかなEVモードでの発進を許す。市街地だけでなく、高速道路の低負荷状況でも、エンジンを止め電気の力だけで短距離をまかなうことも可能。スムーズで洗練された印象を与える。

日常的な走行環境では、やや飛ばし気味に運転しても、3気筒エンジンの出番は少ない。エンジンが始動すると、明確なノイズと振動でその事実を知らせてくる。不意にバイクが近づいてきたような、そんな感覚を覚えた。

クラッチレスのドグミッションが組み合わされたシステムは、鋭い加速時には高回転域までエンジンを引っ張る。アクセルペダルを緩めても、回転数が落ちるまで僅かなラグも感取される。ドライバーの気持ちと、うまく同調できない場面もゼロではない。

とはいえ、平穏に運転している間の質感はいい。エンジンと駆動用モーター、トランスミッションはうまく協調できている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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