アルピーヌが香る ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッドへ試乗 新型ミドルSUV

公開 : 2022.10.13 08:25

理解しやすいグーグル・ベースのシステム

今回の試乗車はエスプリ・アルピーヌというトリムグレードで、アルミホイールは大径な20インチを履いていたが、乗り心地は良好。アダプティブダンパーは設定されないものの、ホイールの粗野な動きを沈めつつ、細かな入力を巧みに処理できていた。

大きな凹みや、舗装のつぎはぎでは若干バタつく様子も見られたが、それ以外の揺れは最小限。しなやかな乗り心地と、安心感のある姿勢制御とを両立させている。

ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

操縦性が自慢のクロスオーバーというわけではない。だが、アルピーヌの精神が宿っていないわけではないようだ。別のグレードがどんなマナーを示すのか、改めて確認してみたい。

オーストラルの車内で目を引くのは、今どきながら、縦長の大きなタッチモニター。グーグル社のソフトウエアで稼働するシステムで、テスラのようなハイテク感を漂わせる。

グラフィックは高精細だし、メニューレイアウトはロジカルで理解しやすい。アンドロイド・オートだけでなくアップル・カープレイにも対応し、グーグル・マップのナビ機能は便利。思いつく必要な機能は網羅されている。

エアコンの操作は、タッチモニター下の実際に押せるハードボタンで可能。内装に用いられている素材の質感や組み立て品質も高く、フォルクスワーゲンのデザイナーを悩ませそうに思える。

燃費も優秀 アルピーヌ風味を感じる仕上がり

リアシート側は、高身長な大人が2名座れるゆとりの空間。背もたれは60:40の分割で倒せるが、マイルド・ハイブリッド版で可能な前後のスライドは、ハイブリッド版ではできない。

荷室容量は430Lで、このクラスでは大きいとはいえないだろう。フロア下にも、小さいながら収納はある。

ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

カタログ値で21.7km/Lの燃費は優秀といえ、CO2排出量は105g/kmがうたわれる。これは日産キャシュカイ e-パワーやトヨタRAV4 PHEVよりも優れた値となる。個人ユーザーだけでなく、英国では一般的な、会社からの貸与車両としても支持を得そうだ。

英国価格はこれからで、トリムグレードやパワートレインに幅もあり、今回はオーストラルの具体的な評価を与えるには至らない。だが、アルピーヌだと期待しなければ、心が動かされるほどの仕上がりにある。

ルノーらしいスタイリングは充分にスタイリッシュだし、アルピーヌの風味を感じるようなシャシーのセッテイングも好印象。完成度の高いSUVだといっていい。

欧州市場では特に、ミドルサイズのファミリーSUVは混戦状態。あまたある選択肢の中でも、ルノー・オーストラルはオススメしたいモデルになりそうだ。

ルノー・オーストラル 1.2 E-テック・ハイブリッド・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万1000ポンド(約676万円/予想)
全長:4510mm
全幅:1825mm
全高:1618mm
最高速度:175km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
燃費:21.7km/L
CO2排出量:105g/km
車両重量:1700kg(予想)
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:198ps(システム総合)
最大トルク:20.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:7速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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