過激な850psの六輪駆動 アポカリプス・ジャガーノート6x6へ試乗 ベースはラムTRX

公開 : 2022.11.26 08:25

北米のアポカリプス社が6x6にコンバージョンした、巨大で険悪なラムTXR。桁違いのモンスタートラックへ、英国編集部が試乗しました。

宇宙船のような過激なルックスに850ps

テキサスはすべてが大きいと、アメリカ人はしばしば口にする。だがこれは、フロリダに置き換えても間違いではないだろう。

それでも、マイアミの片側数車線あるハイウエイで、アポカリプス・ジャガーノート6x6は少し窮屈そうだ。でかいピックアップトラックに見慣れた人でも、思わず二度見せずにはいられないらしい。

アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)
アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)

黒光りする巨大な乗り物は、ラムTRXというピックアップトラックをベースとしている。このTRX自体も、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)傘下の自動車メーカーが量産車として提供する、英国人や日本人からすると桁外れのモデルといえる。

それをアポカリプス・マニュファクチャリング社は徹底的に改造。戦車というより宇宙船のような過激なルックスを与え、V8スーパーチャージド・エンジン「ヘルキャット・ユニット」を、850psまでパワーアップさせた。もちろん、ノイズも盛大だ。

ジャガーノートの特徴であり、多くの視線を集めるポイントとなっているのが、4基のロッキングデフを搭載したフルタイム六輪駆動であること。必要なだけリフトアップもされている。

ジャガーノート6x6の価格は、30万ドル(約4350万円)から。ちなみに燃費は、1.0km/L程度らしい。どでかいモノが大好きなアメリカとはいえ、少々規格外かもしれない。

TRXの驚くべき動的能力をさらに拡張

不思議なことにマイアミでは、ジャガーノートの運転席が特別な場所には感じられなかった。40インチのマッドテレイン・タイヤが6本ついたピックアップトラックで、終日運転を楽しむことができた。

街を走る、ソリッドアクスルにダブルタイヤの大型ピックアップ、デューリーが小さく見える。ルーフが見下ろせる。

アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)
アポカリプス・ジャガーノート6x6(北米仕様)

信号待ちの度に、歩行者や周囲のドライバーが集まってきて、スマートフォンを向けてくる。ちょっとした渋滞を作ってしまうから、ステアリングホイールを握る筆者は若干の罪悪感がないわけではなかった。

ジャガーノートは、馬鹿げた会話のはずみで誕生したわけではない。アポカリプス・マニュファクチャリング社を創業した、デザイナーでエンジニアのジョー・ガッタス氏は、荒野を激走できるTRXの驚くべき動的能力を拡張することへ情熱を注いできた。

ビルシュタイン社のアクティブ・ショックアブソーバーは、TRXが本来実装するドライブモードに接続され、モードに応じて最適な減衰力特性が得られるようになっている。ブレーキディスクとパッドは軽量なもので、重量増加を可能な限り抑えている。

フロントサスペンションは、オリジナルのTRXでも独立懸架式。幅12.5インチという極太なマッドテレイン・タイヤを履いていても、ステアリングホイールは驚くほど軽い。牽引重量は3674kgから9072kgへ、大幅に高められている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

クライスラーの人気画像