ボルボの2023年 細かすぎて伝わらない? しかし確実進化 ボルボ2023年モデル展開を読み解く

公開 : 2022.12.09 05:45  更新 : 2022.12.09 10:02

全車電動化に向けて進化を続けるボルボ。しかし、過渡期にあたる現在、モデル名が複雑に。ボルボの今と変化を解説します。

電動化へ 変化するラインナップ

1987年に日刊自動車新聞社が発行した「外国車ガイドブック」によれば、この年日本国内で販売されていたボルボ車は5台のみ。

しかもセダンが4台に対しブランドの代名詞的なエステートは1台だけ。グレード分けのようなものは特に存在していない。

ボルボは全車電動化に向けてラインナップを進化させているが、過渡期のためさまざまな名称が存在する。
ボルボは全車電動化に向けてラインナップを進化させているが、過渡期のためさまざまな名称が存在する。    宮澤佳久

それに比べ今は……すごいことになっている。

ピュアEVが2モデル、PHEVが6モデル、48Vのマイルドハイブリッドは8台もある。そこからさらに、グレードによって枝分かれしているので相当な数になるはずだ。

パワートレインに関してもかつてのエンジンはガソリンのみで、違いといえばターボの有無くらいのもの。

それが今は純粋な内燃機関以外にさまざまな電動化パワートレインも混在している。

といってもボルボの場合ディーゼルは全車電動化のタイミング(2020年)で終了しているが、それと入れ替わるようにしてピュアEVが登場したかたちになる。

電動化が自動車世界全体の命題となっている昨今は、他のヨーロッパメーカーのモデル数もボルボと同じかそれ以上に多い所も多い。

だがそれでも、今のボルボのモデル構成が特に「難しい」と感じる背景には上記の基本構成以外にもさまざまな理由があるのだ。

リチャージは本格電動モデルの証

昨年ボルボ初のピュアEVであるC40リチャージがデビューした際、「Recharge」という文字列が、ハイブリッドのみならずピュアEVの車名にも付くのだと知って(?)と思ってしまった。

だがこれは読んで字のごとく、リチャージ=プラグを挿して充電できるモデルを意味するという説明を受け納得がいった。

ボルボS90リチャージ・アルティメットT8 AWDプラグインハイブリッド
ボルボS90リチャージ・アルティメットT8 AWDプラグインハイブリッド    宮澤佳久

つまり車名にリチャージの付かないモデルはすべて48Vマイルドハイブリッドということになる。

またMY23以降、リチャージモデルはすべてモールやグリルなどがダークなフィニッシュになるという点も新しい。

これによりMHEVモデルとそれ以外のハイブリッドorピュアEVが識別できるようになったわけだ。

そうそう「ダークな仕上げ」に象徴される新しいグレード構成も本稿を思いついた要因になっている。

以前のボルボはスポーティなRデザインと上級のインスクリプション、そしてベーシックなモメンタムというグレード構成になっていた。

ところが今回からはグレード分けが外装と内装で別々になってしまった。

個人的にはベーシックなモメンタムと上級のインスクリプションという関係性がようやく肌感覚でわかってきたところだったので、これはちょっと残念な部分でもあるのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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