思わず二度見のデザイン ベンツ最上位EV試乗 「EQS 450+」とSクラス、価格差はいくら? 前編

公開 : 2023.01.05 12:05

従来のベンツとデザインが随分と異なる「EQS」。サイズも大きく感じません。前編では、デザインと車内のようすを検証。AMG版とエンタメ装備の差がありました。

分析 小さく見えるワケ

メルセデス社の「EQ-」はBEVラインナップを示すが、従来モデルは既存ラインナップの基本デザインやパッケージングを引き継いでBEV化。

具体的にはGLAGLBGLCだが、その伝ならばEQSSクラスのBEV版となる……と理解しようとは思うのだが、EQSを目の当たりにして受ける印象は他の「EQー」とはかなり違っていた。

メルセデス・ベンツEQS 450+(ソーダライトブルー)。全長はSクラスより15mm長い。ホイールベースは、Sクラス・ロングより5mm短いだけ。
メルセデス・ベンツEQS 450+(ソーダライトブルー)。全長はSクラスより15mm長い。ホイールベースは、Sクラス・ロングより5mm短いだけ。    神村聖

……サイズ感がおかしい。

寸法諸元でみるとホイールベースはSクラス・ロングより5mm短い3210mm。全長はSクラス相応。

ところが、フロントウインドウの傾斜深く、フロントピラーの付け根を前方に置くため、外見上はかなりのショートノーズ。

しかも、キャビン後半はルーフラインからリアエンドへと連続的な面で構成。フロントマスクも押し出し感を控えて“面の連続性”を高めているので、遠目にはやたらコンパクトに見える。

「S」を謳うEQ 後席をチェック

しかし、全長5.2m強の立派なサイズである。デザインともどもで駐車場でも異彩を放っているし、すれ違えば二度見するような存在感もある。

押し出しとサイズ感は外観のプレミアム性の要点だが、逆のアプローチをしているのがEQSの外観。プレミアムの価値感の転換、となるかは不明だが、BEVで何かが変わる予感は未来を感じさせるには十分である。

EQS 450+の後席(内装色:マキアートベージュ/スペースグレー:本革)
EQS 450+の後席(内装色:マキアートベージュ/スペースグレー:本革)    神村聖

最近登場したBEVの多くがSUVパッケージングを採用する。

SUV市場拡大もその要因の1つだが、背の高いSUVパッケージングは床下に大容量バッテリーを配置するのに都合がいい。

ところがEQSの全高は1520mmと乗用車標準の範疇。後席居住性は気になるポイントの1つだが、外観から想像する以上に広い。

高いアイポイントや広いサイドウインドウがもたらす開放感や見晴らしはSUV型BEVに及ばないが、標準的な体格の男性ならばレッグスペースもヘッドルームも余裕がある。

低い座面高と寝かせ気味に座面に沈むような着座姿勢で、リムジンらしい寛ぎを得られる。

ベンツにあって、AMGにない装備

また、前席バックレスト背面には、左右席それぞれに11.6インチディスプレイを配したリア・エンタテインメントシステムを、前席にはセンターパネルから一体でデザインされた助手席用ディスプレイをOP設定。

リア・エンタテインメントシステムは上級設定となる「AMG EQS 53 4マティック+」に設定はなく、EQS 450+はショーファードリブン用途も意識したモデルでもある。

MBUXリア・エンターテインメントシステムは、EQS 450+のみに、48万9000円のパッケージオプションで用意(AMG版には設定なし)。
MBUXリア・エンターテインメントシステムは、EQS 450+のみに、48万9000円のパッケージオプションで用意(AMG版には設定なし)。    神村聖

モーターの最高出力は245kW。馬力換算では333ps。

2.5t強の車重には十分だが、突出して高性能とは言えないまでも、頂点クラスの車格に相応なパワースペックを備えている。

後編では、試乗レポート・価格の検証をお届けしよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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