思わず二度見のデザイン ベンツ最上位EV試乗 「EQS 450+」とSクラス、価格差はいくら? 後編

公開 : 2023.01.05 12:07

従来のベンツとデザインが随分と異なる「EQS」。後編では、走行性能を検証します。Sクラスと価格面でどんな差があるのでしょう?

オススメのドライブモードは?

(内外装をレポートした前編に続き、後編は試乗をお届けしよう)

パワーフィールは穏やかさを旨とし、一気にアクセルを踏み込んでも乱雑な加速度の変化がない。ラフなアクセルワークでも、面取り巧みに繋いで加速度を変化させる感じだ。

メルセデス・ベンツEQS 450+(ソーダライトブルー)
メルセデス・ベンツEQS 450+(ソーダライトブルー)    神村聖

だからといってタイムラグがあるとか反応がルーズな訳ではない。基本的には反応よく従順であり、求める加速に至る時間も短い。

ドライブモードでスポーツを選択すれば、踏み増し時のトルク立ち上げは鋭さを増し、小気味よいコントロール性に。

逆にエコモードでは緩やかな速度変化に対するコントロール性を高めるべく加減速共に鈍した印象を示すが、ドライバーや同乗者にストレスを与えにくい加速度変化は共通している。

その点では、力感と滑らかさを上手に両立しているコンフォートモードが最もEQSに似合い。

オーナードライバーにもショーファードリブンでも、車格感たっぷりのドライバビリティである。

リア駆動だけど、褒めたい信頼感

ハンドリングの基本特性は、やや深めの舵角で素直なラインコントロール性を維持する理想的な弱アンダーステア。

ラインを絞るなら減速しながら舵角を増やせばいい。回頭が先行するとか揺れ返すとか車体挙動の灰汁(あく)を取り除く補正は必要ない。

メルセデス・ベンツEQS 450+(ソーダライトブルー)
メルセデス・ベンツEQS 450+(ソーダライトブルー)    神村聖

後輪駆動ながら加減速の影響も少ない。もちろん、路面のうねりによる方向性の乱れもない。

何が起きても対処できると言っては語弊があるが、それに近い信頼を感じさせるハンドリングだ。

速度による“操縦特性の変化”が少ないのも特筆できる。

1つは電子制御エアサスの効果。スポーツモードを選択していても、低負荷域では柔らかなストローク制御で荒れた路面もしなやかにトレースする。そして、コンフォートモードを選択していても高速コーナーも安定している。

そこにリアアクスル・ステアリングが加わる。

EQSの後輪操舵 どんな感じ?

極低速域では最小回転半径や取り回しサイズで大きなメリットを生み出すが、操安性での効果が際立つ。

「高速域での操縦性」と「挙動の安定重視」の特性なのに、タイトコーナーを鼻先軽く捌いていく。

EQS 450+の前席(内装色:マキアートベージュ/スペースグレー:本革)
EQS 450+の前席(内装色:マキアートベージュ/スペースグレー:本革)    神村聖

全長5.2m強/車重2.5t超の車体にも関わらず、制動を残しながらターンインなど感激ものだ。

SクラスをBEV化したモデルというよりも、BEVにより“Sクラスの追い求めた理想”の具現化を図った。

少々大袈裟な言い回しかもしれないが、EQS 450+を試乗して素直に思うのはBEVとして云々ではなく、Sクラスの特徴とその進化だった。

専用プラットフォームの採用から機械的・電子的な制御系の特性設定等々が、ドライバーも後席乗員も豊かな時間を過ごすという目的に向いている。EQSはSクラスの未来形なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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