BMW X4 xDrive35i Mスポーツ

公開 : 2014.09.27 23:40  更新 : 2021.10.11 09:11

■どんなクルマ?

BMWのXシリーズに、ミドルクラスのX4が加わった。X4のコンセプトは、2008年に誕生し、先日セカンドジェネレーションとなる新型のオフィシャル・フォトも公開されたX6と同様に、スタイリッシュなクーペ風ボディを組み合わせることで、カスタマーのライフスタイルを、よりエモーショナルに演出すること。BMWはそれをSAC=スポーツ・アクティビティ・クーペと呼ぶ。ちなみにX4のベースとなっているのは、こちらも先日マイナーチェンジされたばかりのX3である。

日本仕様のX4は、2ℓ直列4気筒DOHCターボ・エンジンの「xDrive28i」と、3ℓ直列6気筒DOHCターボ・エンジンを搭載する「xDrive35i」の2モデル。その各々に標準グレードと、Mスポーツが用意されているから、トータルのモデル数は4タイプということになる。ミッションは全車が8速ATを採用している。

エンジンパワーは、xDrive35iが306ps、xDrive28iは245ps。これが負担する車重は、Mスポーツ・モデルで比較して、前者が1900kg、後者が1870kgと発表されており、また燃費性能は、JC08モードで、各々12.1km/ℓと13.7km/ℓという数字がカタログには掲げられている。

クーペ・スタイルのボディは、X3との比較では車高が50㎜ほど低いのが最大の変化。とはいえ同時に着座位置も低められたため、前席でのヘッドクリアランスには、なお十分な余裕が残っている。改めてX4のボディ・デザインをじっくりと観察してみると、ルーフラインの頂点は、ほぼドライバーの着座位置に合致しているから、キャビンでこのような感想を抱くのも当然なのだろう。ラゲッジ・ルームは、通常の後席使用時で500ℓの容量を確保。後席は40:20:40の分割可倒式で、それをすべて倒した場合には、その容量は実に1400ℓへと増える。

■どんな感じ?

SACという肩書を持つ、X4の魅力をフルに味わうのならば、やはり4モデルが揃う日本仕様の中で、最も魅力的な存在と思えるのは、xDrive35iのMスポーツだろう。試乗車のチョイスには迷いはなかった。

それにしても美しい造形を持つニュー・モデルだ。すでにこのコンセプトはX6で経験していたはずなのに、改めてミドルクラスに誕生したX4を見ると、BMWの主張というものがダイレクトに伝わってくる。X3とは異なり、リア・ドアのハンドル付近で分割される、サイドのキャラクター・ラインは、あたかも肉食動物のマッスルをイメージさせるかのような力強さと、流麗さを持つ。ほぼドライバーの位置にあるピークから、テールに向けてダイナミックに下がっていくルーフ・ラインも実に美しい。ただ造形の美しさだけではなく、それとキャビンの実用性を見事に両立させていることは、X4の最大の魅力だろう。

X3と比較して、ドライビング・ポジションが低めにセッティングされているためなのだろう。走り出した直後の印象は、X3よりもむしろ、3シリーズのそれに近かった。サスペンションのフィールは、X3よりも明らかにスポーティだ。バリアブル・ダンピング・コントロール機能を持つダンパーは、もちろんドライバー自身の好みで、減衰力を変化させることが可能だが、ハードなセッティングを選択しても、乗り心地が極端に悪化しないのは、サスペンション自体が非常に高い剛性を持つことの証明だろう。やはりバリアブル機能を持つステアリングも、実にクイックでかつリニアな感覚に終始する。そしてこのステアリングの正確さこそが、ワインディングでのX4の走りを、大いに魅力的なものとしてくれるのだ。

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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