英国政府 EVオーナーは年間16万円の節約に? 充電インフラ拡充に25億円投資へ

公開 : 2023.01.18 18:25

英国政府はEV充電インフラの拡大を目指した新計画を発表しました。双方向充電に対応した「スマート街灯」などに1600万ポンド(約25億円)を投じ、消費者負担の軽減を図るとしています。

双方向充電対応の「スマート街灯」導入へ

英国政府は1月17日(現地時間)、EV(電気自動車)の充電の自動化を目指す新計画「Electric Vehicle Smart Charging Action Plan」を発表した。これにより、年間最大1000ポンド(約16万円)の消費者負担軽減が期待できるという。

この計画は、EVオーナーが安価でクリーンな電力を利用できるようにするため、EVの充電スケジュールを管理し、電力需要が少ない夜間や再生可能エネルギーを利用するというもの。スマート充電器の数を増やし、消費者サービス基準を向上させる予定だ。また、V2L(車外への電力供給)機能の利用を促進し、家庭の電力を賄ったり、電力会社に売電して収益を得たりしやすいようにする。

英国政府は充電器付きの街灯を増やし、双方向充電(家庭での使用や売電)によって消費者負担の軽減につながるとしている。
英国政府は充電器付きの街灯を増やし、双方向充電(家庭での使用や売電)によって消費者負担の軽減につながるとしている。

計画は政府機関Ofgem(ガス・電力市場局)とともに策定され、1600万ポンド(約25億円)が投じられる。

市街地には「スマート街灯」と呼ばれる充電器付きの街灯が増設されるほか、市販のEV充電器などの製品もスマートなエネルギーシステムに統合される予定だ。また、英国政府は計画の一環として、スマートチャージ(スマート充電)に関する啓発活動を強化し、民間が運営する充電器を最新のEV技術に対応させていく。

平均的なEVオーナーは毎年約200ポンド(約3万1000円)、走行距離の多いEVオーナーは最大1000ポンド節約できるとしている。

2022年7月には、英国内のすべての新しい充電器にスマートチャージ機能を搭載することが義務付けられており、充電ネットワークのサイバーセキュリティを向上させるためのさらなる投資が行われている。

今回の1600万ポンドの投資は、2050年に向けて低炭素技術の導入を促進するために設立された10億ポンドの基金「Net Zero Innovation Portfolio(NZIP)」に由来するものだ。

英国のエネルギー・気候変動担当相であるグラハム・スチュアート氏は、次のように述べている。

「政府は、私道や職場、路上駐車にかかわらず、EVのドライバーにとってスマートチャージがより簡単な選択肢となるようにしたいと考えています。そのためには、最新技術を駆使して、新しいネットワークインフラを迅速に構築する必要があります。今回の計画では、Ofgemや産業界と協力してスマートチャージの市場を活性化させる方法を示し、1600万ポンドのイノベーション資金でバックアップしています」

NZIPの一環として、英国政府は新たに「V2X Innovation Programme」というプログラムを立ち上げた。V2Xとは「Vehicle to Everything」の略で、充電と車外電力供給に対応した街角のスマートチャージャーに22万9000ポンド(約3600万円)、バッテリーの劣化を抑えて寿命を最大化する技術に16万5000ポンド(約2600万円)を投資するというものである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事