この「瞳」がアイコンに メルセデス・ベンツの次世代モデル スリーポインテッドスターのDRL採用へ

公開 : 2023.09.14 19:05

・スリーポインテッドスターのライトは市販モデルも採用
・このライトはEVにおける「マフラー」のような存在に。
・次期CLAは250kW急速充電、航続距離750kmを実現。

DRLとグリルが次世代モデルの特徴に

メルセデス・ベンツのデザイン責任者によると、「コンセプトCLAクラス」のデイタイムランニングライト(DRL)は、将来のEVの新しい「特徴」となり、内燃エンジン車のエグゾーストパイプ(マフラー)に相当するものになるという。

9月4日にドイツで公開されたコンセプトCLAクラスでは、フロントとリアの円形ライトにスリーポインテッドスターのDRLを統合している。星のグラフィックパターンをあしらったデジタルグリルと共に、次期CLAの市販モデルと、新しいMMAプラットフォームをベースとする3車種のコンパクトモデルに導入される予定である。

スリーポインテッドスターのDRLが今後の「アイコン」になるようだ。
スリーポインテッドスターのDRLが今後の「アイコン」になるようだ。    メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツのデザイン責任者であるゴーデン・ワグネル氏は、コンセプトCLAクラスのスタイリング要素が市販モデルにどの程度引き継がれるのかという問いに対し、次のように答えた。「ほとんどすべてです」

「新しいデイタイムランニングライトや星のようなアイコニックな要素は、メルセデスの新しいシグネチャーであり、とてもクールです。これは新しい “エレクトリック・エグゾースト” であり、電気自動車にはエグゾーストがありませんから、お客様にとって良いパイプがあるのは素晴らしいことだと思います」

ワグネル氏はまた、新しいグリルも重要な要素であると言う。「メルセデスのグリルの新しい解釈ですが、グリルそのものは引き続き使っています。無表情なクルマが多くある中、ここで違いを出したい。わたし達のグリルはとてもアイコニックです」

「私たちが行うことはすべて、センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)というデザイン哲学に沿ったものです。シャネルにも似たスタイルで、ラグジュアリーブランドにとって大きな意味を持ちます。1.2、1.3……とOSのように進化させ、いつかは2.0が登場するでしょう。このクルマはおそらく1.8で、すでにいくつかの点で新世代に突入しています」

「わたし達にとって重要なのは、アイコニックであることです。同一性の海、アイデンティティのない無表情なクルマたちに変化をもたらしたい。わたし達はアイコニックな特徴でその枠からはみ出したいと思っており、メルセデスにはそのためのあらゆる可能性があるのです」

最新テクノロジーを投じたCLAクラス

コンセプトCLAクラスは、9月4日にミュンヘンのIAAモビリティ2023で実車が披露された。市販モデルの次期CLAを予告するものであり、バッテリーEVと内燃エンジンが用意される。

EVでは、2速トランスミッションを備えた最高出力238psの後輪駆動モデル、ベースグレードの204ps仕様、デュアルモーターのAMGモデル(2025年発売見込み)が計画されている。

メルセデス・ベンツ・コンセプトCLAクラス
メルセデス・ベンツ・コンセプトCLAクラス    メルセデス・ベンツ

プラットフォームはコンパクトモデル向けのMMA(メルセデス・モジュラー・アーキテクチャー)で、MMAはCLAクーペ/CLAシューティングブレーク、EQAEQBの4車種での採用が確定している。また、CLAでは自社開発・生産の新型電気モーターを初めて搭載する。

バッテリーとしては、58kWhから85kWhの容量を持つLFP(リン酸鉄リチウム)とNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)バッテリーが用意されるようだ。LFPバッテリーは、軽量化と小型化のために、セルモジュールを接着剤で固定するという新しい構造技術を採り入れている。

重要なのは、次期CLAがメルセデス・ベンツの市販車として初めて800V電圧のバッテリーシステムを採用し、DC急速充電器で最大250kWの充電が可能になることだ。メルセデス・ベンツによれば、わずか15分で400km分のチャージができるという。さらに、コンセプトCLAクラスには双方向充電機能が搭載されており、市販モデルではV2H、V2G、V2Aの導入の可能性もある。

電気モーターとトランスミッションはリアアクスル・アッセンブリーに搭載され、重量110kg以下の1つのユニットに統合される。SiC(シリコンカーバイド)インバーターの採用により、巡航時におけるバッテリーから車輪までのエネルギー伝達効率は最大93%に達するという。これは、現行のEQAの89%を上回るものだ。

MMAプラットフォームや新型電気モーターとも相まって、欧州WLTPテストサイクルで平均エネルギー消費量8.4km/kWh(電費)、航続距離750kmを達成すると謳われている。

最高技術責任者のマルクス・シェーファー氏は、「コンセプトCLAクラスはメルセデス・ベンツにとってまったく新しいアプローチです。ビジョンEQXXコンセプトから学んだことが多く盛り込まれています。当社のエンジニアは、800V電気駆動システムの損失を低減することで効率を最大化しました。また、高レベルの統合により、優れたエネルギー密度を実現しています」と語っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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