向かうところ敵なしのオフローダー ウニモグUHEへ試乗 理解すれば価格も納得 前編

公開 : 2023.09.10 08:25  更新 : 2023.09.10 13:48

陸上の万能選手と呼べる1台で、コアなファンが居るウニモグ。英国編集部がドイツへ赴き、最新版の実力を確かめました。

向かうところ敵なしのウニモグ

恐らく通常のオフローダーなら、今頃エンジンは水没している。シャシーの底面はガリガリに削られ、クラッチが焼け焦げていても不思議ではない。肩を落とし、ずぶ濡れになったズボンのまま、家路へついていただろう。

しかし今日は違う。向かうところ敵なしの、ウニモグを運転しているから。

ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)
ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)

AUTOCARの読者なら、一度は耳にしたことはおありだろう。ただ、余程のマニアでない限り、大型トラックの1つ程度だとお考えではないかとも思う。実際のところ、非常に奥が深い。限られた数の文字や写真で説明しきることも、本当は難しい。

2023年で創業75周年を迎えたウニモグは、メルセデス・ベンツのトラック部門などを傘下にする、ダイムラー・トラックが抱える1ブランド。現在は2車種を製造し、世界中へ届けている。

1つは、UGE インプレメント・キャリアと呼ばれる多目的トラック。もう一方は、UHEエクストリーム・オフロードと呼ばれる有能なオフローダーとなる。

今回ステアリングホイールを握らせていただいたのは、その後者。ただし、2車種のみの展開だとしても、ラインナップは少し複雑だ。

UGEの場合、ホイールベースは6種類から選べる。エンジンは4気筒と6気筒があり、最高出力は5段階に設定されている。これらを組み合わせると、特装業者が手を加える前のベース車両の状態で、17種類になるという。

それまでの不便を一変させた初代70200

試乗したUHEでは、ホイールベースとエンジンは1択のみ。キャビンの形状は2種類が用意されている。加えて、駆動系が強化されたヘビーデューティー仕様を選べる。シャシーが許容する重量は、10.3tから14.5tとなる。

今回のUHEは、ヘビーデューティー仕様のダブルキャブで、5023クルーキャブという。ボディサイズは全長約6m、全幅約2.5m、全高約2.9mあり、UHEの頂点に君臨する。

ドイツ西部、ガッゲナウにあるウニモグ・ミュージアムの展示車両
ドイツ西部、ガッゲナウにあるウニモグ・ミュージアムの展示車両

つまり、シリアスなオフローダーの頂点に位置するともいえ、最も過酷な状況へ対応できるクルマだと考えても間違いではない。最高速度は88km/hに制限されるが、公道を走れるクルマのなかで、辿り着けない場所が1番少ないともいえるだろう。

最近のウニモグの販売数は、年間2000台以上に登る。1948年に誕生した初代から、その有能ぶりは秀でていた。

戦後間もない頃から、トラクターは農家の必需品の1つといえた。むき出しの大きなリアタイヤの上に乗り心地の悪いシートが据えられ、後輪駆動で走りは遅かった。大きな荷物を運ぶ場合は、トレーラーを繋ぐ必要もあった。

そんな実情を見たドイツ人技術者のアルバート・フリードリッヒ氏は、オリジナルとなるウニモグ70200を発表。それまでの不便を一変させた。

エンジンの上に載せられた、2人が並んで座れるキャビンには、フロントガラスとカンバス製のルーフが付いていた。四輪駆動システムを備え、ギアを介してアクスルよりホイールの位置を下げる、ポータルアクスル構造も採用されていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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